乗り込み口へ
 




スラムの廃棄ホテルのF7、俺達はほんの少し、危ない状態にあった。

(囲まれたか・・・?)
(恐らく・・・)

難無くミッションクリアするかと思えば、そうはいかなかった。ポイントに到達後直ぐさま指令遂行の為に動いたはいいものの今回は相手が悪かった。移動中に送られてきた情報に拠れば密売者達は全員で7人、そのうち4人がファミリーの裏切り者で残りは金で雇った用心棒との事だった。少人数相手ならば、隠密に内部に攻め込み確実に数を減らして行けば指令の成功率は確実なものとなる。だからこそ、二人同時にホテルへ乗り込み始末をつける手筈だった。
しかし、この現状はなんだ・・・?
財前はサングラスに取り付けられている遠赤外線の探知機で当たりを探る。ひい、ふう、みい・・・

(あー、軽く30人はいますわ・・・)
(司令部の情報はどうなっとんねん・・・)

柱の多く立つこの広いフロア。そのど真ん中に二人は背中を合わせて冷静に会話を進める。辺りから感じる殺気、どうやら隠れていることを隠す気は無いらしい。姿は見えずとも人の気配はビシビシと伝わってきていた。


(やるしか、あらへんなあ・・・)


はあ、深く溜め息をついてから銃に手をかける。ピクリ、財前がそれに気付いて視線だけ向けた。
視線が交わり、交錯する。ニヤリ、悪ガキのような笑みを浮かべて謙也は地面を蹴った。















「おーおー、流石っすわー」


パチパチ、渇いた音かコンクリートの中で反響する。ほんの数秒の間に彼等の回りをぐるりと囲っていた連中は一カ所へと積み上げられていた。それぞれの利き腕の関節部分に弾丸を貫通させた状態で、全てが防弾チョッキとの間にできる僅かな隙間に直撃していた。
忍足謙也、たった一人の、たった一丁の銃でだ。


「少しは手伝うそぶりくらい見せてくれても良かったんちゃうん?」

お前何俺一人に仕事させてんねん!!と怒鳴りながらも山積みにされた人の中から自分より大きい男の胸倉を掴み銃口を額へ押し当てた。

「さて、んじゃさっさと機密書類の在りかを教えて貰おか?あー、お前らから言ったら機密書類やなくて"商売道具"、か・・・?」
「ぐっ、・・・馬鹿かお前らッ!!!俺達がそう簡単に口をひらくとでも思ってんのか?」
「口答えせんでさっさ答えた方が身のためやで?」
「・・・ッヒィ!?」

ひやりと、男の首筋に赤い液体が流れる。さっきまで男の視界の端にいた光が、そのすぐ真後ろへと移動していた事に気付いたのはその数秒後だった。

「アカンわ、こいつさっさ殺しましょうや・・・話す気あらへんのなら時間の無駄やし」

そういいながら、光は業と男の視界に自らの血の付着したナイフを晒した。男の足がガクガクと震え出すのを気にも止めず怪しく月明かりに反射する刃物を、その額へ垂直に刺そう、とした瞬間・・・





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