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  泣き虫カミナリ





昔から、これだけは嫌いやった。何よりも苦手で、好き嫌いがあんま無い俺でも、本当に嫌いと言えるモノ。
家には誰もおらん。オカンも親父もまだ仕事の時間。帰ってくるまで軽く数時間はある。まぁ帰ってきたところでこの現状がどうにかなるわけでは無いんやけど・・・。
雨でコートが使えんくて、筋トレするにも体育館やらは他の運動部でごったしとったから、今日は休み。何時もなら嬉しい休みが、今日ばかりは憎くて仕方ない・・・。


「ひ、・・・っ!」


ピカッ、光った瞬間大きな音。身体が自然と硬く、硬直する。未だ慣れることは、ない。きっと、多分、ずっと、俺はコイツに怯えながら生きていくんや・・・。
身を震わせながら、俺は頭から被っている布団をギュッとにぎりしめた。


(こわい怖い、コワイ・・・ッ)


瞼をいくらつぶっても、いくら耳を塞いでも、存在を感じてしまうソレ。
俺を探すように、ゴロゴロと嫌な音が頭の中で反響する。


バタンッ!!


「・・・ッ!!」


大きな音に、丸めた身体を更に丸くして小さくなる。
ビクビクと身体を震わせ、血の気が引く気がした。

すると、フワリ・・・。
いきなり布団の上から誰かに包み込まれて、俺は目を丸くさせた。現状がイマイチ理解出来ず固まってしまう。よく耳を澄ませると、荒い呼吸が聞こえて来た。


「け、やさ・・・」
「・・・、」
「謙也、さん・・・」
「・・・ひか、」
「言うて、ください・・・」
「ぇ、・・・」



「雷怖いんなら、傍におってって、言うてください」




低温なのに濡れて更に冷たくなった光の手が、俺の頭を撫でて、それが酷く優しくて・・・。
俺はプライドとか、そんなん何も気にせんと光の濡れた腕の中に飛び込んで、声を押し殺して泣いた。


(全身濡らしてまで、来る馬鹿が・・・おるか・・・・・・ッ)(謙也さんが心配過ぎて傘さすん忘れとりました)




(よかった・・・、こんな阿保な人独りで泣かさんで)


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雷が嫌いな謙也さん。

光謙

09/07/29






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