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  雨降って恋焦がれる





「はぁ〜・・・」
「そない盛大な溜め息つかんでください」

欝陶しいわ、と毒づく後輩に何時もなら掴みかかってでも文句言ったるんやけどな。
今日はそないな元気すら無くて軽く目を細めてから睨み付けるだけにしといた。
それで気にするような温雅な性格やないのは分かっとるつもりやけど、特に気にする様子も無くただ空を見上げるコイツに少しだけ腹が立った。
可愛いげ無さ過ぎて逆に清々しいくらいや・・・。


「謙也さんは雨・・・キライ、すか。聞くまでもないわな」
「何やねん、それ。」
「どーせ、テニス出来へんし走り回れんし、じとじとして気持ち悪いし、雨が降っても何も良いことなんかあらへん、そんな具合ですやろ」
「う゛・・・っ」


的確に言い当てられて言葉が出ない。そんなに分かりやすいか俺・・・。


「そういう光は雨、スキなん?」
「ん、まぁ・・・スキ、やないっすわ。でも、謙也さん程キライな訳でもないですよ」
「なんで・・・?」


思った疑問を素直にぶつけてみたら、光は視線を雨の降り続いている空からゆっくりと俺に移た。
いっつも思うけど、コイツ無駄に顔整い過ぎやで・・・。悔しいけど、カッコエエわ・・・。
光は俺をじっと見つめた後、ちょいちょいっと手招き。なんや、コイツがやると何か可愛く見えんな。
言ったら絶対殺されそうやけど・・・。
俺は大人しく光の方へと体を乗り出すと、いきなり襟元を力強く引き寄せられた。


「謙也さんのコト、独り占めできるやないですか」


この時不覚にもドキリとしてしまったのは、内緒な・・・?


(謙也さん顔真っ赤・・・)(誰のせいや、誰の)(まぁ、今日のところは満足出来たっちゅー事にしたりますわ)



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初光謙


09.07.27






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