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  黒板は君




時計に目をやれば、まだ授業が開始して10分も経っていなかった。嫌いな古典、普段使っている言葉の源がこれだなんて認めたくないと心の底から思う。第一、現代においての使用価値が無いだろうと道徳に反した、あながち間違ってはいない言い訳を思いついてため息が出た。

(まだまだガキやな・・・)

午後の一発目に組み込まれてしまったこの授業が憎い。いつもなら昼飯を食う屋上でサボる事も出来たのに。今日に限ってあの人は、いい加減授業はしっかり出なアカン、と強く言ってきたものだから従う他なくて。付き合い始めてから気付いたのだが、あの人は圧しに弱いと見せ掛けて善人癖がある。部活をサボろうとすれば、ひきずってでもコートに連れ戻されるし、授業をサボろうとすれば必ず差はあっても注意してくる。それが気に障ったりもするが、お陰で大分"周り"への意識が変わった。一切の興味も持てなかった環境がほんのりと色付く。それはクラスメイトの奴からも"円くなった"といわれる程俺に影響した。

他でも無い謙也さんのせい。
(否、謙也さんのおかげ、か)

(今日、俺らグランドでサッカーやねん)

ふと、昼飯を食い終えた彼が楽しそうに話していた事を思い出す。まさかな、とは思いながらも窓際の自分の席から下のグランドを見下ろせば、自然と頬が緩むのを押さえられなかった。

(お そ い っ ち ゅ ー ね ん ! 、て・・・)

一際目立つ金髪。
貴方を知る度に、俺の知識が色付いていく。


(嫌な授業でも、受けてみるもんやな・・・)(本来の目的は、ズレとるけども)


グランドを駆けるアンタを見ていたら、知らぬ間に授業終了のシャイムが響いた。


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10/07/27






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