「円堂、豪炎寺あとは頼むぞ」

「おう!」


お疲れと声をかけ、風丸と鬼道が部室を後にした。

今部室にいるのは部誌を書いている円堂とその円堂を待っている俺の二人だ。
つまりキスをさせてくれない理由を聞き出すのは今しかない。


「円堂聞きたいことが、」

「なぁ今日ってパス練習と何したっけ?」

「……必殺技の特訓じゃなかったか」

「あっそうだったな!」


俺が質問しようとするとかぶせるように円堂が喋り出す。
なんだわざとか?なんて思ってしまうほど会話がかぶる。

これは円堂が部誌を書き終わるまで待つしかないか…と机の上に置かれてサッカー雑誌を手に取り円堂の言葉に相槌を打ちながら円堂が部誌が書き終わるのを待った。










「お待たせ豪炎寺!」


あれから10分ほど経ち部誌を書き終わり「帰ろうぜ!」と荷物を手に取り部室の入口に向かおうとしている円堂にちょっと待てと声をかけ、がしっと腕を掴んだ。


「豪炎寺?」

「お前に聞きたいことがある」


ぐいっと腕を引っ張り円堂を俺と壁の間に挟む。
これで逃げられる心配はないだろう。


何か怒っているのだろうかと、少し怖がっている円堂に怒ってはいないということを伝えるために優しく頭を撫でてやれば強張っていた表情がふわっと緩んだ。



「あのな円堂、お前に聞きたいことがあるんだ」

「なに?」

「…なんでキスさせてくれないんだ」


遠まわしに伝えたらきっとこいつは何のことか分からないだろう。
なのでストレートに伝えてみた。


「えっ」

「理由もなしにキス禁止にされた俺の気持ちが分かるか?」


ぐいっと唇同士が触れるか触れないかぐらいまで顔を近付ける。
そうすれば円堂はかぁっと顔を赤くして「えっと…」と慌て始めた。
このままキスしてもいいんだが、円堂の反応があまりにかわいすぎるのでこのまま。




「なぁ円堂?」



下唇を軽く噛んでもう一度名前を囁けば「うー…」と唸り観念したらしい円堂が口を開いた。




「口内炎」

「……こう、ないえん?」


言われた言葉に思わず聞き返してしまった。

口内炎ってあの口内炎?

「一週間ぐらい前から急にできてさ、なかなか治んなかったんだよ」



こんな状態でキスなんかしたら染みていたいだろ!



なんて言うもんだから俺はまさに開いた口が塞がらない状態。
なんだ、そんな理由でキス禁止になんてされていたのか。



「それなら仕方ないな。でも理由もなしに禁止になんかされたら傷つく」

「ごめんな豪炎寺…」


しゅん、と少し項垂れる円堂を強く抱きしめ口内炎が出来ているのならと、口ではなくバンダナを押し上げて額に口づけ。

そうすれば円堂は拗ねたように唇を尖らせ不満そうな顔つきに。


「円堂?」

「…もう口内炎治ってるから口にしていいのに」

「口にしたらそれ以上のこともしたくなる」



それでもいいのか?



許可をもらう前から円堂のユニフォームの中に手を忍ばせている俺は相当我慢の限界みたいだ。
胸を弄れば「あっ…」と甘い声をあげる円堂。



「ん…、いいよ、」




いっぱい触って?





そんな言葉を言われてしまえば


理性なんて邪魔なだけだった。







ビタミンX



(栄養剤はあなたの愛)


(なんちゃって)










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口内炎の話だったのにあれ?






2010.12.16




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