宇都宮虎丸、12歳。
一世一代の告白。
「好きです、付き合ってください!」
頭を下げて右手をずいっと差し出す。
多分、いや絶対俺の顔は尋常じゃないほどに赤くなっているに違いない。
聞こえてしまうんじゃないかと思うぐらいにうるさい心臓。
汗ばんでいる握りしめた左手。
初めて好きになった人に初めての告白。
「虎、丸…?」
「本当に好きなんです、キャプテンのこと」
顔をあげて少し上にある俺よりも幼くみえる顔をまっすぐに見つめてもう一度"好きです"と伝える。
そうしたらキャプテンは少し困惑したような表情で、虎丸…、と俺の名前を呟く。
いつ好きになったかなんて覚えてない。
最初は憧れだったんだと思う。
豪炎寺さんがかっこよくて、キャプテンもあんな小さな身体で力強いシュートをいとも簡単にキャッチして。
でもいつの間にかキャプテンのことだけ目で追っていて、そしたらずっとキャプテンのことしか考えられなくなって。
それで気付いた。これは憧れなんかじゃない、俺キャプテンのこと好きなんだって。
そしたらこの気持ちが抑えきれなくて、こんな真夜中にキャプテンを海辺に呼び出して告白。
(受け入れてほしい、俺の気持ちを否定しないで)
そう願いつつキャプテンからの返事を待っていると、"虎丸聞いて"とキャプテンが口を開いた。
「オレも虎丸のこと好きだ」
「ほんとですか!?じゃあ、」
付き合って下さい!と続けようとした時キャプテンの、でもなという言葉に遮られた。
「オレの好きと虎丸の好きは違うんだ」
「……違う?」
「虎丸の好きは恋愛感情なんだと思う。けどオレの虎丸への好きはそうじゃない」
「…」
あぁ、そうか。
「虎丸のことは仲間として好き、なんだ」
つまり
「それに弟みたいで可愛くて、」
俺は
「だから、虎丸のこと恋愛対象として見れない」
フラれ、た
「そ、うですか」
「それにオレ、好きな人…いるから」
「…豪炎寺さんですか」
「うん、付き合ってるんだ」
なんとなく気付いてた。
仲間でもない、友達でもない、二人だけの絆。
俺はその絆の邪魔はできない。
でも、それでも俺はあなたが、
さよなら初恋。
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虎円も美味しいよもぐもぐ
2010.11.28