ねぇ、君は覚えてるかな?



今日は、












「遅いな…」



さっきから時計を眺めてはため息をつくの繰り返し。
時計は長針と短針がちょうど重なりあい12を指している。




「…もう終わっちゃったじゃん」



バカ豪炎寺。今日中には帰ってくるって言ったくせに。






目の前に並べられた料理の数々を見つれば何だか惨めになってきて目の奥が少し熱くなった。




今日は大切で特別な日だからと練習もいつもより早く切り上げて苦手な料理も3時間かけて作り上げた。


待ってたんだ。豪炎寺はいつ帰ってくるのかってドキドキしながらずっとずっと。




でもこの瞬間






料理を作った時間もこうやってアイツを待っていた時間も







全部全部ムダになったんだ。







「ごう、えんじ」




仕事が忙しいのは分かってる。
それがオレと少しでも長い時間一緒にいれるようにって理由なのも分かってる。
早く仕事を覚えようって夜勤までいれて。




分かってる。全部分かってるんだ。




でも、今日ぐらいは。


豪炎寺はもう忘れてしまってるかもしれないけど。











「…寝よう」


もしかしたら今日は泊まりになるのかもしれない。

なら先に寝てしまおうと椅子から立ち上がった瞬間、ガチャッとドアが開く音がした。


そして廊下を走る音が聞こえてくると同時にオレがいるリビングの扉が慌ただしく開く。





「円堂っ!!」

「ご、うえんじ…」

「すまな、い…今日中には帰れるはずが先輩に捕まってな…」



本当にすまない、と息を切らしながら話す豪炎寺は駅から家まで走ってきたのかいつも整えられている髪型が少し乱れていて息も途切れ途切れだ。




「豪炎寺、忘れてなかった…?」

「忘れるわけないだろ。今日…と言っても日付が変わってしまったけどな」



目の前にいる豪炎寺に手首を掴まれぐいっと抱き寄せられて力強く抱きしめられる。


戸惑いがちに豪炎寺の背中に手をまわせば離さないと言わんばかりに抱きしめる腕に力がこもっていて少し痛いぐらいだ。


でもその痛みがとても心地よくて、安心して







「ありがとう円堂。」





たった一言。



心臓が甘く締め付けられる感覚に我慢していた涙が一粒零れ落ちた。












なぁ、信じられるか?



オレとお前があの場所で出会ったあの奇跡みたいな出来事から




もう10年が経つんだぜ










君と僕の記念日




(俺と出会ってくれてありがとう。)



(好きになってくれてありがとう。)



(これからもずっとずっとそばにいてください。)











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祝豪円の日!
イチャイチャしてなくて申し訳ない。

豪円ちゃんだーいすき!!!






2011.10.1


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