赤、青、黄色。それから緑にオレンジに。
その上に白いリボンをかけて。


それは宝石みたいにきらきら輝いてみえる。







「豪炎寺は何味が好きなんだ?」

「俺はあんまり食べたことがないんだ」

「マジで!?」


人生損してるぞ豪炎寺!!なんて騒ぐ円堂が持ってきてくれた器と見たことのない機械にカラフルなシロップを眺めながら大げさだ、と苦笑を浮かべる。




蝉が元気に鳴いている夏真っ盛りな8月の中旬。

今日の練習は午前中で終わりみんなが着替えを始める部室はこの後どうするかという話題で持ちきりだ。
何か食いに行こうと言っているヤツがいたら家でのんびりゲームをしようと言っているヤツもいたり。

俺ももちろん円堂と何処かへ出かけようと考えていた。

こんな暑いと遠出はしたくないなと考えながらも円堂の行きたいところへ連れて行ってやろうと思い円堂にこの後どうする?と聞けば暑いからかき氷食べたいな!と返事が返ってきた。


「かき氷?」

「おう!あっかき氷機あるしうちで食べようぜ!作ってやるよ!」


この間母ちゃんが買ってきてくれたんだ、と嬉しそうに話す円堂の頭を軽く撫で部室を後にし今に至る。





「ちょっと待ってろよ!」

そう言って見たことがない機械――かき氷機と言うらしい、初めてみた――に氷をセットし腕まくりをする円堂。


小さい頃に祭りなんかで食べたことがあるのかもしれないがまったく記憶にない。
母さんが亡くなってからは祭りに行ったことさえなく友達と行くなんてこともなくて、かき氷を食べるのはほぼ初めてに近い気がする。



ガリガリ、と氷が削られていき器に白い雪が積っていく。
それをジーっと見つめていれば、そんなに珍しいか?と円堂に笑われた。



「しょうがないだろ。見たことがないんだ」

「豪炎寺って変なところでおぼっちゃんだよなー」

「うるさい」


少し拗ねたように眉を寄せれば悪い悪いと謝る円堂はやはり笑っている。
でも円堂が笑っているのが嬉しくて、俺もつられて笑ってしまう。







「はい!出来たぞ豪炎寺!」


好きなシロップかけて食えよ!と言われながら渡されたかき氷。
どの味が美味しいのか分からずとりあえず目の前に置いてある青色のシロップを手に取り氷の上にかけていく。
目の前の真っ白な雪が青色に染まっていく。


「豪炎寺はブルーハワイか!」

「そうなのか?なんとなくかけてみた。円堂は何味にするんだ?」

「俺はいちご!それに練乳かけて食うんだ!」


すっごく美味いんだぞ!!と嬉しそうにいちごのシロップをかけていく。
いちごに練乳とはすごく甘そうだ。でも円堂が好きそうな味だななんて思った。







「いただきまーす!!」


パクリ、とかき氷を口に運んでいく円堂を見つめ俺も一口。

口の中に爽やかな甘みと冷たさが広がり火照っていた身体が涼しくなっていく。
頭にくる頭痛もとても心地いい。


「んー!やっぱ美味いな!」

「そうだな」


円堂と一緒に食べるからさらに美味い、と素直に言えば何言ってんだよばか!と少し顔を真っ赤にして怒られた。
そんな会話さえも嬉しくて愛しい。


美味い美味いと言いながらかき氷を頬張る円堂の口の周りにはシロップや練乳が付いている。(少し卑猥だなと思ったのは俺だけの秘密だ)


「円堂、ついてる」


そう言ってぺロリ、と口の周りの練乳を舐め取ればさっきよりも顔を赤くして――いちごのシロップより赤いな――「あ、ありがと」とお礼を言われた。










「あっ豪炎寺、べーってして!」

「ん?」



かき氷を食べ終わりゆったりした時間を過ごしていれば突然円堂にこんなことを言われた。
何をするのか疑問だったが言われた通り舌を出せば円堂はあはは!と笑い始める。


「どうひたえんほう」


舌を出したままだったので美味く喋れなかったが なぜ笑い始めたのかと円堂に聞けば「豪炎寺、舌青色だ!」と大笑いし始めた。

自分でも鏡を見て確認すれば確かに舌は真っ青になっていた。


「そんなに笑うことないだろう」

そう言っても円堂はお腹を押さえて未だに笑っている。
そんな円堂の頬を軽く抓ればごうへんじいはい!と返ってくる。


「あっはは!だってなんか面白かったからさ!あっオレもいつもより真っ赤になってると思う!」


ベーっと差し出された円堂の舌を見れば確かにいつもより真っ赤だ。


舌を出すその仕種が可愛くてそして幼く見えてしまい何だかムラッとしてしまった。
なので顔を近付け差し出された舌に自分の舌を触れさせて。


そしてそのまま舌を絡めて深く口づけていく。



「ん…むぅ…ぁ…」

「っはぁ……円堂いつもより、」




甘いな。



そう言ってにっと笑えば豪炎寺も甘いよ?とふにゃりと笑う。
その仕種に堪らずシャツの下の素肌に触れれば円堂は小さく声をあげる。


「せっかく涼しくなったのに、」

「イヤか?」


そう問えば返事は返ってこなかったがその代わりに背中に腕がまわされる。



それを合図にバンダナをずらして額に口づけベットに優しく押し倒した。








色日和


(暑い夏はまだまだこれからだ。)









-------------------------------



エア豪円アンソロ様に提出させて頂きました!






2011.8.20






「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -