濃紺色に申し訳程度に添えられた小さくかがやく宝石たち。夜になれば顔を出す宝石たちはかわいらしくて美しい。感嘆の息が零れるのをとめられない。朝の透き通ったような空や清々しい空気も、太陽が真上にのぼって暖かくわたしたちを照らしてくれるお昼だって、みんなどれも好き。それを見ているのがわたし一人だけだったなら感動なんて起きなくて視界に入っても我関せずただ前にあるものに注意して歩くのだろう。だったらどうして、今こんなにすべてのものを愛おしく思うのか理由は明快。

「今日もいい一日でしたね、マグマラシ」

わたしのご主人さまが、わたしの隣にいて笑ってくれるから。目元を緩やかに半円にして、大きな手で頭をなでてくれる陸遜さまをわたしは大好き。紺色の中にある一つだけの赤は埋もれることなくむしろ爛々と光っているよう。さながら恋する女の子みたいだと考えて、ちょっと恥ずかしくなってしまった。けれど、仕方ないと思う。なんせ陸遜さまは眉目秀麗でいて頭が良くて、とても優しい。そんな陸遜さまに夢中になってしまう女の子は後を絶たない。わたしだって人間の女の子に生まれていたなら、陸遜さまに十中八九、心を奪われていたのだろう。もしもの想像に思わず笑いが出てしまう。でもそんな女の子より陸遜さまのために炎を操れる今のマグマラシの方が、わたしはしあわせだわ。

「ご機嫌ですね、なにかいいことでもありましたか?」

なでている手はそのままに、顔をちょっぴりわたしに近づけて首を傾げる。自分の気持ちをわかってくれたのが嬉しくて置かれてる手にすりすりと頭を押しつける。こんな風に近くにいられるのだって、わたしだけの特権。


発火現象
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110526
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