(現パロ/社会人)
「あー疲れた。」
キーボードを叩く指を止めて、目頭をつねりながらそう溢せば、さっさと仕事を片せと上司様から頭をしばかれた。ベシッと叩かれた頭が少し痛い。痛いじゃないですか、と呟けば、上司様から「口を動かす暇があったら指を動かせ」と更に辛辣なお言葉を頂いた。酷いものである。
「ええ。だってリヴァイさん、今日クリスマスですよ。世の恋人達が街に溢れて浮かれてる日ですよ?」
俺だって休んだっていいじゃないですか。上司ことリヴァイさんに向かってそう言葉を零せば、リヴァイさんは缶コーヒーを飲みながら「お前に恋人なんて居ねぇだろうが」と嘲笑を含んだ声色で返された。何故リヴァイさんがそれを知っているんだ。
「何回お前の愚痴聞かされたと思ってんだよ。」
「はい?」
「女欲しいとかそろそろ溜まってるとか。お前と飲みに行くと大抵そんな愚痴漏らしてるぞ。」
「マジすか。」
うわああああ。リヴァイさんから聞かされた衝撃の事実に、俺は頭を抱える。
そんな恥ずかしい事言ってたの!?、俺!!と半ば茫然自失になりながらもデスクに顎を乗せて唸っていると、リヴァイさんから「今更だろう」と呟かれてなんか死にたくなった。リヴァイさんの俺への印象ってそんなもんなんすか。溜め息を着きながらそうぼやけば、リヴァイさんは俺とのそんなやり取りに疲れたのか、「じゃあ10分だけ休憩やるからその後はちゃんと資料作りに戻れ。」といってくれた。
俺はデスクから立ち上がってリヴァイさんに抱き着こうとした。鳩尾蹴り飛ばされた。涙出そうになった。
「―――――あ、じゃあ俺ちょっと外しますね。失礼します。」
「10分後までには戻って来いよ。出なきゃお前の首飛ばすぞ。」
「(うわ、リヴァイさんも冗談言うんだ。)はは!リヴァイさんを警察のお世話になんかさせませんよ!」
「(冗談じゃねーよボケ)今殺してほしいのか?」
「すいませんでした。」
そんなこんなでリヴァイさんから10分休憩を頂いた俺は、外に出てケーキでも買いに行く事にした。
いくらなんでも男二人で仕事に缶詰めはクリスマス的にどうかと思ったからだ。他の奴らは羽目外してアハンウフンしてるっつーのに、恋人ナシで仕事アリのクリスマスなんかクルシンデマスなだけだ。
リヴァイさんも去年はクリスマスまでには仕事を片していたのに、今年は片して居ないところを見ると、彼女さんとも別れてしまったんだろう。
俺は過去にリヴァイさんの彼女さんを一度だけ見たことがあるが、彼女さんはあの小さいリヴァイさんよりも更にちっちゃくてとても可愛い人だった。リヴァイさんともかなり仲の良い雰囲気を醸し出していたが、今年のこの現状からして別れてしまったんだろうか。もったいない。
しかしまぁ、そんな訳だし。女ナシな男二人で仕事は剰りにもしんどいし。俺とリヴァイさんで数分だけのクリスマスを楽しんで仕事に戻ろうと思った俺は、コンビニでショートケーキが2切れ入ったパックを買って会社に戻った。リヴァイさんは相変わらず缶コーヒーを傾けながらパソコンとにらめっこをしている。
「リヴァイさん、」
「……ああ、帰ったか。」
「コンビニでケーキ買ってきたんで一緒に食べません?、クリスマスだし。」
「甘い物は好きじゃない。」
「今日くらい良いじゃないですか。」
そういって片方のショートケーキを手掴みで食べ、リヴァイさんにもう片方のショートケーキ(パックに入ってるやつ)を渡すと、「要らねぇからお前が食え」と突っぱねられた。…もしかして去年のクリスマスでも思い出して切なくなっているんだろうか。きっと去年は可愛い彼女と一緒だったのに今年はこんなクソみてぇな後輩だよマジねーわ、とか思ってんだろうなあ。去年がアレで今年はコレだもんな。そんな事を思いながら、俺がジッとリヴァイさんを見つめていると、リヴァイさんがあからさまに眉をしかめて、「その同情するみてェな面やめろ」と言ってきたので、なんか更に同情した。そして更に同情したのと同時に、俺は、これはなにがなんでもケーキを食わせてやりたいなと思った。
「リヴァイさん、ケーキ食いましょうよ。」
「要らねぇっつってんだろ。」
「コンビニのケーキっすけど、そこそこうまいっすよ。これ食べると、少しは仕事の疲れも吹き飛ぶんじゃないんすかね。」
「ケーキで疲れが吹き飛ぶんなら世の栄養ドリンクは最早ドーピングに近いだろうな。」
うぬぬ、リヴァイさんったらガードがクソかてぇ。どうやらなにがなんでも俺とのクリスマスプチパーティー(と言う名のただケーキを食べるだけの時間)を楽しみたくないらしい。そんなに俺とのパーティーが嫌かよ!と内心歯ァギリギリさせながら考えつつも、このまま食べさせないでいるのはなんかホントに癪なので、俺はリヴァイさんにあげるつもりだったショートケーキを片手で掴んで、もう片方の手でリヴァイさんの肩を引いた。
「、!、おいミョウジ、テメェいきなり何す…っ!?」
振り返りざまのリヴァイさんの口に、ショートケーキを突っ込む。こんな事したら普通は怒られるだろうが、今日はクリスマスだ。少しは多目に見てくれるだろう。そんな算段で俺はリヴァイさんの口にショートケーキを突っ込んだが、突っ込んでから後悔した。なぜなら。
「っ〜、…っ、!!」
「(っ、あ、やばい。)」
今、目の前に広がる状況に、俺は不覚にも胸を高鳴らせてしまったからだ。
―――――いつもは鋭い目付きなのに、苦しいからか若干涙を浮かべてしまっている目とか、うまく息が出来ないから上気して赤らんでしまっている頬とか、俺の事抗おうとしてるのに俺に肩持たれて口にケーキ捩じ込まれてるから上手く動けていない状態とか、極めつけはやっぱり、顔についた白い生クリームとか。
最近息子と遊んでいない俺としては、もう、つまり、今のリヴァイさん、超エロかった。
「っリヴァイさん、」
―――――気付いたらもう勢いに任せていた。男とか関係なかった。俺はリヴァイさんの口に突っ込み途中だったショートケーキをジャンのデスクにかなぐり捨てて(ごめんジャン)、リヴァイさんの唇に噛み付くようにキスをした。リヴァイさんは俺の突然の行動にかなりびっくりした顔をしていたが、そのスキに俺がリヴァイさんの口の中に舌をねじ込んで舌側を舐めたり口蓋を撫でたりすると、リヴァイさんは顔を少しだけしかめて(その癖に顔は赤いんだから、リヴァイさんってツンデレだ)、必死に顔を剥がそうとしていた。俺はそんなリヴァイさんに屈する事なくクチュクチュとわざと音を立てて愛撫を続けた。そしたら何分か経ってから、ついにリヴァイさんから舌を噛まれて顔を殴られた。いってぇ。
「っ…テメェ、ふざけんなよ。殺すぞ。」
リヴァイさんはゼェゼェと肩で息をしながら怒る。でも、
「…リヴァイさん。」
「…なんだよ。」
「そんなかわいい顔で言われても、怖くないです。」
ニヤリと笑って俺がそういえば、リヴァイさんは赤い顔を更に赤くして俺の頬を殴った。俺はそんなリヴァイさんのグーパンチをモロに受けながらも、リヴァイさんの首もとにキスをした。ビクリとヒクついたリヴァイさんがかわいくて、あ、俺ってバイだったんだなと思った。
とりあえず仕事はやめにしません?、そう言って俺は首もとのネクタイをクリームまみれの指で緩めた。リヴァイさんはそんな俺に心底ビビった顔してたけど、俺にキスされていやらしい顔してたんだから、あんたに文句は言えねぇからなと俺が言えば、リヴァイさんはまた顔を赤らめて俺を殴った。痛いけど可愛いと思った。
「今年のクリスマスは最高っすわ。リヴァイさんのお陰で。」
「…ッ明日には殺すからな…、」
「じゃあサンタクロースに生き永らえられるようにお願いしときますね。」
「っクソ…っ!、っン…!!」
―――――――――――
最後生々しすぎワロタ
でも描写はないからdangerはつけないよ。
今年もリア充は末長く爆発すれば良いと思います。
メリークリスマス!
皆様に幸おおからんことを!
しかしリヴァイ誕要素どこいったし
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