愛は惜しみなく与う
シリーズものの集まり







「せ〜んぱい」

振り向く先輩の頬に僕の人差し指が刺さった
そしたら、先輩は少しむくれて「もー…梓くんったらっ」と怒ったような表情を見せるけど、
そんな表情も全てが可愛いと思う僕は相当先輩に酔っているのだと思う

「どうしたの?」

「好きな人に会いに行く理由なんて、会いたいから会いにきた。それだけです」

その瞬間、頬を真っ赤に染めて恥ずかしがる先輩
その様子に僕は満足して、先輩の耳元で静かに囁く

「先輩、顔真っ赤です。そんな顔されると我慢できそうにないんですが」

ますます顔を赤に染め、茹蛸みたいにしてしまうものだから
僕のこの気持ちはどうしようもなくなって

つい、


ちゅっ


そう、リップ音をたてて彼女の唇に自身の唇で触れた

可愛い先輩
僕の先輩
僕だけの先輩

どんな先輩もみんな同じぐらい愛しくて

つい、意地悪をしたくなる


「先輩の所為ですよ。こんなにも僕を捕らえて離さないんですから」


離しません
逃がしません

だから、お願いですから

ずっと傍に居てください


先輩は俯きつつも、小さく頷く


あー…もう、僕の恋人は本当に可愛い人だ



【初めて意地悪したいと思った】



▼starry☆sky/木ノ瀬梓








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