愛は惜しみなく与う
短編




思えば銀ちゃんは何をするときでも私の隣に居た

私が小さい頃、石ころに躓いて盛大にずっこけたとき、
何も言わず、彼は大きな背に私を背負って家まで連れて行ってくれた。
銀ちゃんの大きな背中は何故か安心できて、
あたたかくて、違う意味で涙が零れそうだった。

私がいじめっ子に泣かされて独りで泣いているとき、
大きな手のひらで私を包み込んでくれた
俺が傍に居る、だから泣くな
私が泣くまでずっと傍に居て、私を励ましてくれた
その次の日に彼がいじめっ子をぼこぼこにして、
私に謝るよう言ってくれたことをまだ覚えている

彼はどんなときだって、いつもずっと一緒に居てくれた。
それが私にとってどれだけ心の支えとなっただろう
私はそんな彼にどれだけ救われてきたか…
この気持ちを表しきれる言葉が見つからない

ありがとう、ありがとう

けれどありがとうじゃ伝えきれないけど
でも本当にそう思ってる

そして今日も相変わらず銀ちゃんは隣に居た


「お前が頑張ったからの結果だ
お前はいつもいつも夜遅くまで勉強勉強って言ってただろ?
その努力は俺がいつも見てた。
お前はよく頑張ってたよ。頑張ったな。
いつも頑張るお前に俺はどこかで力を貰ってた。
こっちこそありがとな」


優しく微笑む銀ちゃん

ねぇ、何でそんなに綺麗に笑うの?

私が泣いてるときも、笑ってるときも

一緒に泣いてくれたのは銀ちゃんだった
一緒に笑ってくれたのは銀ちゃんだった

悲しみを半分にしてくれた、喜びを倍にしてくれた

そんな貴方に伝えられる言葉はあるのかな?


「銀ちゃん、ありがとう」

「お前の努力が報われてよかったよ」


「銀ちゃん」

「ん?」


「だいすきっ…」


「………ん、知ってる」


優しい銀ちゃん
格好いい銀ちゃん

でも今日は照れた銀ちゃんを見れた

頬を少しだけ赤く染めて、私に小さな声で一言呟いた


「俺はお前が好きだよ」

「………ん、知ってる」


今日、私は試験に受かった
銀ちゃんと同じ学校だ

彼は私の喜びを自分のことのように喜んでくれた
そんなことかと思うひとも居るだろうけど、
私にとってはそれは大きな大きなことなのだ
一緒に喜んでくれる人が居ることが、
どれだけの喜びとなるかを銀ちゃんは知っているんだろうか?

もし、

今度銀ちゃんが辛いとき、苦しいときは、
今度は私が彼と共に悲しもう
痛みが少しでも和らいでくれるだろうか

今度銀ちゃんが涙が出るほど嬉しいと感じるときがきたら、
そのときは私も一緒に涙を流そう

私がしてくれて嬉しいことを貴方に返すことができたなら

きっと銀ちゃんは今日みたいに笑顔で居てくれるから




(だいすき)
(…ばか、あんま可愛いこと言ってると銀さんという名の狼に襲われちまうぞ)
(銀ちゃんが狼だったら私、襲われてもいいよ)

((何こいつ…超可愛いんだけど))



【愛を倍に悲しみを半分に】




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のり子へ贈る夢小説でした
銀ちゃんの言葉はそのまま私の言葉だったり…
おめでとう!そしてだいすきさぁ!






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