愛は惜しみなく与う
短編




「まっこと暑いのぉー」

「暑いね」


私達は今、宇宙にあるひとつの星に居る

共に攘夷戦争で戦い、苦しみ、仲間が死に逝く…
そんな状況を乗り越え、
私達は私達のやり方で、この地球を救えるものがあるのではないかと思った
最初の頃は私達を意気地なしやら負け犬やら
逃げたのかと問う者も居た

だけど、私達は一切耳を傾けなかった
だって、辰馬が地球を救えると信じてる、
そんな辰馬が進む道があるのだから、私達快援隊メンバーはその道を進むだけだ


「でもこれが、生きちょるっちゅーことじゃ」


そう微笑みながら、私の手を辰馬のひとまわり大きな手で包み込む


「あったかいのぉ、おんしも生きちょる」

「うん、辰馬の手もあったかい…」


戦争中は、戦いの連続で
自分が今生きているのか、死んでいるのかそんな感覚すら掴めていなかった

でも、

今はこうして隣にあたたかい体温を持つ彼が居る。
だから私はこうして体温を感じることが出来る

それだけで、生きていると実感できる


「辰馬…いつか地球に争いがなくなるときが来るかもしれない…来ないかもしれない…だけど、でもそのときが来ても、私の隣で笑っていてね」

「何を急に言い出すかと思いきや、そんなこと…」


「…当たり前じゃ…死んでもおんしを離さんぜよ」


わしは、何も才能が無い男じゃが、
おんしの横で体温を確認させてやることはできる…
じゃから安心しちょっていい


そのときの辰馬の顔は、サングラスに隠れて見えなかったけど、
多分優しい目をして、微笑んでいるに違いない


「あー…あったかいね」

「そうじゃな」


時は進む
時代も進む

でもどんなときだって、この手を離したりはしない


生きている、

そんなことが一番幸せなことなのかもしれない




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前サイトから坂本さん
原作では出番が少ないですが、大好きです







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