ちかサンタ

物音で目が醒めた。
部屋は真っ暗で、目の前にはぼんやりと大柄の人がこちらを覗きこんでいる。
「......元親?」
「ッ!......ち、違ぇよ」
「...ちがう、のか...」
「...ああ」
「嘘つけ」

眠い目を擦り上体を起こす。
暗闇に慣れて元親の顔を確認した。
「...ばれちまったか...」
「...夜這か?」
「っば、馬鹿違ぇよ!!っよ、よ夜這...!」
「あー、からかっただけだ落ち着け。悪かったって」
「ったく...」
少しずつ意識が覚醒していく。
寝間着で罰が悪そうに目線をそらす元親がどこかおかしい。
あ、こいつサンタ帽被ってる。

視線を下げれば、左手に小包を携えていた。
「それ、何だ」
「...ッこれは、その」
持っている事を今思い出したように後ろ手に隠す元親。遅ぇよ。
「...あー、プレゼントか?」
「......ああ」

観念したのかぽつぽつと罰が悪そうに喋り出す。
要するに、武将達がプレゼントをひとつずつくれるらしい。
で、元親が三番目。
言われて見遣れば、枕元には既にふたつの包みが置かれている。

「...その、な...」
歯切れ悪く口を開く。
「...ばれちまったのは、黙っといてくれねぇか」

縋るように顔色を窺う元親。
「...は、ははっ」
「っな、何笑ってんだよ!」
「言う訳ないだろ。俺は起きてないしお前は気づかれなかった、だろ?」
「な、何だよ...」
「お前らから貰えるなんてな。想定外もいいとこだ」
「そ、そうか?」
そわそわと嬉しそうに身を乗り出す元親。
サンタ帽の白いボンボンが揺れる。

「あと一人か?」
「ああ、風魔で最後だ。寝たフリしてろよ!」
「任せろ」
「じゃあな!大和!めりーく、くりすます!」
たどたどしい挨拶と共に部屋を出る元親。
そういや風魔さん隣にいないな。
居間かどっかで待機してるんだろうか。

来るべき風魔サンタに向けて布団へと戻る事にした。


それから数分後。
音もなくドアが開き、枕元にかさりと物が置かれる音がする。
薄目を開けると、満足気に腕を組み、同じくサンタ帽を被ってふんすと鼻を鳴らしている風魔サンタが。
いそいそと帽子を脱ぎ、そっとベッドの下へと隠しするりとベッドに潜る風魔さん。鮮やかだ。

任務完遂を見届け、宵闇に意識を手放した。




朝。

もう風魔さんは朝飯を作りに出たらしい。一人のベットが少し寒い。
上体を起こして枕元に並ぶ四つの小包を確認する。すぐさま開こう、と思ったが、真っ先にベッド下を確認した。



帽子、回収されてた。

...さ、小包持って下降りるか。

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