浮遊霊との七日間

昔どこかで見た女幽霊スレの二次創作
置き換え、改変もの
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元親「清めの塩だぁ?」

元親「…しょっぺぇな。あ?それだけだぜ」




元親「寒気がする?風邪なんじゃねぇの?暖かくして寝てろよ。」

元親「ああ、おやすみ。早く直せ」




元親「背後霊だからって、どこにでも付いてこられたら困る…ってもよォ」

元親「いいだろ。幽霊は寂しいと死んじまうんだぜ」




元親「湯浴みん時に背後に視線感じる時あるだろ」

元親「あれ、俺なんだぜ」

元親「びっくりし…ッ馬鹿!見てなんかッそ、の… すまねぇ」




元親「御札?」

元親「…なんて書いてあるんだろうな。俺にも読めねぇわ」

元親「こういう金の無駄遣いはやめたらどうだ?」




元親「日輪よ…ってか」

元親「おう、おはよう」

元親「日の光?別になんともねぇが」




元親「なあ。お前、想い人は居んのか?」

元親「幽霊武将ってのもいいもんだぜ」

元親「…守護霊として、な」




元親「せっかく霊能者に来て貰ったのに残念だったな」

元親「俺の姿が見えないなんざインチキもいい所だ。」

元親「俺も本物だと思ってたぜ。世知辛ェ世になったもんだなぁ…」

元親「まあ、なんだ。仲良くやろうぜ」




元親「俺の墓?」

元親「どうだろうな。骨は海にばら撒いた。あいつら石碑建ててたみてぇだが…どうなってんだろうな」

元親「なんにせよ、お前が来てくれんなら歓迎するぜ」

元親「もちろん、草むしりぐれぇはしてくれるんだろ?」




元親「俺多分な、お前と一緒に写ったら心霊写真になると思うんだわ」

元親「あぁ、安心しろ。写真写りは良い方なんだぜ?」




元親「お、線香」

元親「なんだなんだ辛気臭ェな」

元親「…俺の為?」

元親「ああ、俺、死んでんだったな」

元親「…ありがとな」




元親「そこに干してたタオル?」

元親「あぁ、さっき猫がひっかけてそっち落ちたぜ」

元親「…そんな目で見るなよ。猫、かわいかったぜ」




元親「なあ、ちっとだけお前を金縛りにしていいか?」

元親「暇なんだよ。頼む」

元親「俺にされるの怖ぇか?」

元親「…ほぉ、怖くねぇなんて言いやがって。覚悟しろよ?」




元親「誕生日と命日。どっちが重要なんだろうな」

元親「俺にも分からねぇよ。お前に決めてもらいてぇんだ」

元親「一年に一度くれぇ特別な日があったっていいだろ?」

元親「そういう日にゃあ刺身でも備えてくれたら嬉しいな」




元親「おい!箪笥の裏に千円札あったぜ!」

元親「偉いだろ!山分けな!」

元親「…俺には使い道ねぇんだったな…」

元親「あぁ。それ預けるから、干菓子でも買ってきてくれや」




元親「お前がこの世で一番怖ェ物って何だよ」

元親「あぁ?饅頭だぁ?」

元親「じゃ、饅頭大量に抱えてる俺はどうよ」

元親「面白い?」

元親「…確かに面白ぇな」




元親「般若心経なんて唱えてんのか。俺はそんなんで成仏するほど柔じゃねぇ」

元親「…さあ?神仏なんざ居ないんじゃねぇの。いても偽物だろうよ」

元親「お前、見たことねぇだろ。見てねぇなら居ねぇんだよ」

元親「幽霊なら目の前に居るんだからそれでいいじゃねぇか」



元親「お、自炊か」

元親「上手いもんだな。俺?勿論できるぜ。見せられねぇのが残念だな」

元親「…嘘吹いてる訳じゃねぇんだぜ?」




元親「未練?生きてた頃の事なんざほとんど覚えてねぇよ。あってもあいつらぐれぇだわ」

元親「お前は生きてるが沢山ありそうだなぁ…」

元親「俺に愚痴吐いてみねぇか?」

元親「なぁに、俺には酒に付き合う時間が死ぬほどあるんだぜ」




元親「もし、急に俺が居なくなったらどうするよ」

元親「成仏したんだな、ってかぁ?」

元親「なら良いんだけどよ。ただ、お前に見る力がなくなっただけで」

元親「俺は変わらずそこにいるかも知れねぇな。」

元親「…んな顔すんなよ。今は見えてるだろ。な?」




元親「朝。幽霊に起こされて目が覚めると厨には朝飯があった」

元親「…なんて夢の光景だな」

元親「俺には起こすことも触れる事も出来なかった。時計見てみろ」

元親「…間に合うかぁ?」




元親「天獄地楽に何か持ってけるとしたら。お前何持ってくよ」

元親「俺?…お前持ってけば話し相手にゃ困んなさそうだな」

元親「…ダチが少ねぇの見え透いた考えだな」

元親「蒼いのも連れてきてぇな…あぁ、こっちの話だ」




元親「おぉ、やっと帰って来たか。おかえり。遅かったじゃねぇか」

元親「待ちすぎて地縛霊になっちまう所だったぜ」

元親「…面白くねぇ?」




元親「最近女友達が余所余所しい?」

元親「俺は知らねぇなあ」




元親「幽霊の欠点?」

元親「それは秘密、だ」

元親「…お、どうしても知りてぇってか」

元親「じゃ、俺に触れられたら教えてやるよ」




元親「…いーい天気だなぁ…絶好の釣り日和だ」

元親「…暇だなぁ……まだかよ…」

元親「お!おかえり!今日は随分早いんだな」

元親「……俺に早く会いたかっただぁ?」

元親「…て、照れるじゃねぇか」




元親「お、どうしたよ花束なんざ」

元親「飾るのか?珍しいな」

元親「…夕飯豪華だな。誰か来んのか」

元親「ああ、俺はいいよ分かってる。大人しくして…」

元親「…俺、に?」

元親「……っ…あ、ありがとう、な」




元親「生気?」

元親「あぁ、お前のは吸わねぇよ」

元親「そういやお前旨そうじゃねぇか」

元親「吸われてぇか?」

元親「はは、冗談だ冗談」




元親「風呂借りるわ」

元親「…覗くんじゃねぇぞ?」


元親「…何を期待したんだよお前は…」






元親「俺の生きてた頃の思い出?」

元親「もうだいぶ薄れちまったなぁ…」

元親「…別にいいだろ。俺は今を死んでるんだ」

元親「俺は今、お前と居るんだろ?それで十分よぉ」




元親「お前といると犬に吼えられる?」

元親「…じゃあ、外出るのやめるか」

元親「お、別に謝んなくてもいいんだぜ。…ありがとうな」

元親「そんなお前が嫌いじゃねぇよ」




元親「おやすみの接吻が出来ねぇのが残念だな」

元親「おい、んな泣きそうな顔すんなよ」

元親「……俺も?…ッうるせぇよ」




元親「雨…凄ぇな…」

元親「お、電話」

元親「…留守電に、はなってんのか…お、あいつからか」

元親「…あぁ、家に帰れねぇのな」

元親「……気つけて来いよ」

元親「…雨に苛立つたぁ鬼失格、ってか?」




元親「お、起きたか」

元親「俺?寝てねぇよ」

元親「幽霊に睡眠なんざ必要ねぇんだ」

元親「…あぁ、気にすんな。今は宵待ちも退屈じゃねぇ」

元親「お前が居るから、な」




元親「…でな、そん時あいつがよぉ …寝たか」

元親「…退屈はしねぇがよ」

元親「寂しい、なんてな…」




元親「上半身隠せだぁ?」

元親「おら、見てぇならもっと見ていいんだぜ」

元親「…他に見る奴もいねぇしな」




元親「…暇だなぁ…」

元親「…剥製」(壁から首だけ出している)

元親「あっ」

元親「…お、かえり 今日は随分遅かったじゃねぇか」

元親「……何ニヤついてんだよ」




元親「もう寝たか?」

元親「…よっこら…っと…」

元親「幽体離脱」

元親「…起きてたなら言えよ」




元親「曇りの朝は生ぬるくて気持ち悪ぃな」

元親「あぁ?」

元親「さぁな。無意識だ無意識」




元親「怖い夢を見た?どんなんだったんだよ」

元親「…落ち武者の幽霊が出た夢、か…」

元親「お前、俺が何なのか覚えてるか?」




元親「いーい天気だなぁ」

元親「絶好の昼寝日和!ってかぁ?」

元親「…お、茶二つも持ってきてどうしたよ」

元親「気分だけでも?」

元親「…悪かねぇな」




元親「ほぉ、誕生日か」

元親「蝋燭の火?出来るぜ」

元親「おめでとさん」

元親「死んだ時にも祝ってやるよ」




元親「死にたくなかったか、だって?」

元親「死後の生活も悪いもんじゃねぇんだぜ」

元親「お前がいるからな」




元親「お、明日は早ぇのか」

元親「会議?ご苦労なこって」

元親「寝過ごしそうなら起こしてやるよ」

元親「なぁに任せろ。金縛りなら得意中の得意で…おい、遠慮はいらねぇんだぜ」




元親「結婚?正室はいなかったぜ」

元親「航海出たら長く戻って来れねぇからな」

元親「…何だよ。寂しくなんざねぇよこれでも充実してんだぜ」

元親「…お前、俺の正室になったらどうするよ」

元親「なんてな。冗談だ冗談。お前に触れない俺はお前にゃ不釣合いだ」

元親「ほら、俺はいいから早く旦那探せ」




元親「幽霊じゃない俺と一緒にいる夢を見た、なぁ…」

元親「そうか…」

元親「『胡蝶の夢』って知ってっか?」




元親「俺が今一番欲しい物、か」

元親「生身の躯」

元親「…がなくても愛してくれる奴だな」




元親「夢枕に?あぁ、出来るが。何するつもりだよ」

元親「…俺に抱きしめられてぇたぁ変わってんなぁ…」

元親「おう。帳が上がるまで離さねぇぞ」




元親「おら、泣くな。お前にゃ涙は似合わねぇ」

元親「…どうしてもってんなら俺の前でだけ、だ」

元親「落ち着いたか?ほら、何があったんだよ。話してみ?」




元親「随分酷ェ雨だな…」

元親「迎えに来たはいいけどよ。これだとお前だけ濡れちまうな」

元親「止んでくれりゃぁお前も濡れずに帰れるってのにな」

元親「…あぁ、酷ぇ雨だな」




元親「お、ほら、そこにコンビニあるじゃねぇか」

元親「さっさと傘買って来い」

元親「…肩濡れてるじゃねぇか。ちゃんとさせよ」

元親「俺?…お前もつくづく変わった奴だな…」




元親「お、出かけんのか」

元親「気つけてな。お前にしちゃぁ珍しいじゃねぇか」

元親「交通事故にゃあくれぐれも気つけろよ」

元親「…幽霊になって帰って来たら承知しねぇぞ」




元親「仏壇ってのは色々意味があってな」

元親「蝋燭の焔で魂を呼んで、線香の煙で天に還すんだ」

元親「お前が料理してると寄ってっちまうのはそのせいかもな」


元親「…お、香焚くのやめたのか?」




元親「もうすぐ盆だな」

元親「あぁ?…そうだな。仲間がいっぱいいるぜ。海沿いだとうじゃうじゃいるな」

元親「でもよ、盆終わると勝手に還されそうになっちまうんだよな。迷惑なもんだぜ」




元親「見たいもの?」

元親「そうだな。オーロラ、見てぇな。寒そうだがお前は我慢してくれんだろ?」

元親「冗談だ。んな顔すんなよ」




元親「カメラいいな。カメラ」

元親「甲斐のあたり紅葉綺麗だからよ、そのうち行こうぜ」

元親「…解ってると思うけどよ。俺アレだからな」

元親「魂吸われるっての、信じてるクチだからな」




元親「湯浴みはいいなぁ…生き返るぜ」

元親「実際に生き返っても困るんだけどよ」




元親「なあ、肝試し、行かねぇか?」

元親「頼むよーなぁー」

元親「久々に他の奴と話がしてぇんだ」




元親「風邪?おい大丈夫かよ」

元親「俺は大丈夫だ。感染りゃしねぇよ」

元親「…幽霊だからな」




元親「…」

元親「……」

元親「… ……」

元親「…あ、ちょっと待て。まだページ捲んなよ」




元親「何見てんだ?」

元親「…心霊特集?」

元親「ほぉ… あ、これ俺だ」




元親「知ってるか?」

元親「幽霊ってな。触ってるものが暖かくなったり冷たくなったりするんだと」

元親「…お前は触らなくても温けぇな」




元親「さて。ちっと出かけてくるな」

元親「あ?どこか、だぁ?」

元親「野暮な事聞くない。んじゃ、大人しく待ってろよ」


元親「…そろそろ、か」




元親「ああ、酒は良い。色んな事を忘れさせてくれんだよ」

元親「俺の事は忘れんなよ?」




元親「…今更未練が出来るなんてなぁ」

元親「あぁ、何でもねぇよ」




元親「幸せな死に方ってのはな。好きな奴に笑顔で看取ってもらう事なんだよ」

元親「成仏?同じなんじゃねぇの」




元親「時間っつーのは経つのが早ぇもんだな」

元親「お前とまた逢えるのもすぐって訳だ」




元親「思い出っつーのはな」

元親「…そうだな。海に降る雪みたいなもんだ」

元親「きらきら光って綺麗なもんなんだぜ。気付いたら海面に消えちまう」

元親「おい、泣くな。最後まで聞け」

元親「…雪は雨になって、地を潤すんだ」

元親「そうやって、いつか一緒になれるといいな」

元親「だから今は寝るんだ」

元親「おやすみ。こら、いつまで泣いてやがる」



元親「…また、な」




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