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部屋で二人で飯食うなんて初めてだな、と思いつつ食器を洗う。
何が好物かなんてわからないのでとりあえず秋刀魚焼いて出した。

食事の合間に、ぽつりぽつりとこっちに来た時の状況を教えて貰った。
なんでも、戦の開戦直後に意識が切れ、気づいたら俺が玄関から入ってくるところだったそうだ。

もやもやと復習し、今後を考えていたところで洗い物が片付いた。
手を拭ったところで呼びかけられる。

「長門、長門よ」

「はいはいなんですか」

「...これはなんぞ」

「テレビです。えっと、遠くの風景が映ります」

「奇術か。もしや幻術の類か」

「どっちかと言えば電通の類ですかね」

「でんつう...?聞き覚えないな」

「ですよね...」

「...まあよい。してこれは」

思い返せば盛大な告白とも受け取れるようなあのやり取りから一時間。
信用は兎に角、殺気は向けないでくれるようになった元就さんの質問に順番に答えた。
話せば話すほど、元就さんがこの世界の人ではない事実が裏打ちされていく。

眉を顰めながらぺたぺたと液晶に触る元就さん。
ふと見れば緑の装束にはうっすらと血の跡があり、よく見れば全てが赤黒く乾き、剥がれかけていた。

「あの、」

「何だ」

「意識が途絶えたの、戦の途中、と仰ってましたよね」

「...そうだ。此度こそは。長曽我部を潰すつもりだった。とんだ誤算よ」

無表情にはっきりと話す元就さんの感情を推し量る事が出来ない。


「...彼奴ら、負け戦など許さぬ」

「彼奴ら、って、部下さん達ですか」

「捨て駒よ」

「...さいですか。負けてないといいですね」

元就さんが上司だと色々大変そうだなぁ...言ったら殺されそうだけどさ。

よっこら、と膝に手をかけ立ち上がった。風呂入れないと。

「我が、」

歩みを止める。

「はい?」

「...我が居らずとも負ける様な駒共ではない」

凛と背筋を伸ばし座る元就さん。
強い双眸に竦む。

「我らが、負ける訳がなかろう」

「...早く、戻れるといいですね」

細い肩が、震えていた気がした。

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