私の仕えるお方は我が儘です。そりゃあ一国の主である為多少の我が儘なら命令として通ります。しかし、


「ななし!」

「なんでしょうか」

「刑部の所へ遣いに行け」

「はっ」


ある時は離れにて元就様と策を練られている吉継様を呼びに行けと言われました。どうやら三成様はまだ元就様にお心を開いていらっしゃらない様です。


「ななし!」

「なんでしょうか」

「穴熊の所へ遣いに行け」

「え…それはちょっと…」


またある時は地下へ閉じ込めている熊の様なむさい男…官兵衛に手紙を置いて来いとの事。地下はむさくて暗くて怖いので行きたくありません。


「斬滅されたくなければ今すぐ行け」

「…はい」


三成様は本気で刀を鞘から抜き始めたのでやっぱり首が飛ぶ前に頑張って鉄球男の元へ向かおうと思います。


「ななし!」

「…なんでしょうか」


流石に私も疲れてきました。三成様は人使いがお荒いです。
しかし私は三成様に仕える身なので、今日も無理難題に応えようと身を構えます。

「今日は…ずっとここに居ろ」

「…三成様」

「何をしている、切り捨てられたくなければ早く隣に座れ!」

「…はいはい」



私が仕えるお方は大変我が儘です。
でも友達を自分から遠ざける様な事をしておいて、いざ友達が離れると寂しがるので、どんなに我が儘でも一生仕えてあげたいと思います。
といいますか、私はそんな我が儘で寂しがりやな三成様が大好きなので一生離れるつもりもありません。


「三成様、大好きですよ」


私の主
(なっ…私は貴様の事など…べ…別に…!)
(ふふ、わかってます)



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