《“君は”“知っているかい?”“今日は楽しいハロウィンだ!”》

満面の笑みで近付いてきたバンブルビーは心の底から嬉しそうにしていた。

「勿論知ってるよ」

ハロウィンを知らない人なんているのだろうか。まあ金属生命体であるこの子は異例だが。

《“なら言わせてもらおう”“トリックオアトリート!”》

大きい体を折り曲げなるべく小さくし、わたしに向かって手を差し出す。さぁ、さぁ!というように急かされる。何かお菓子持ってたっけな…あ、飴玉が何個かポケットに。これでいいかな。

「ごめんねビー、飴しかないんだけど…いい?」

《うわぁずりぃ!》

後ろから金属同士が擦れ合う音がしたから振り返ると、ジャズとツインズが走ってくる。危ないってば!
俺も貰ういや渡さないぞと争奪戦が始まったが無力なわたしは傍観するしかない。
あれよあれよという間に持っていた飴玉を全て取られてしまった。唯一の非常食が


「無くなっちゃった…」

《トリックオアトリート》

頭上から低い美声が。

「オプティマスだー。お菓子を欲しがるなんてなんか意外、生憎だけどもう持ってないよ?」

《ああ、知っている》

「え…?」

《知っていて言ったのだ。ついでに白状すると、無くなるタイミングを見計らって来た》


博識なオプティマスの説明は分かりやすいはずなのにちっとも理解できない。
今まで黙っていたビーとジャズ、ツインズがにやにやしだした。それに反してオプティマスは瞳をきょろきょろせわしなく動かし落ち着きがなくなる。



《君に、い、いたずらをさせてくれないか…!》

照れ屋な彼の大胆アプローチ?


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