あるところに、お姫さまと王子さまがいました。
 黄金の髪にキラキラと輝くエメラルドの瞳のお姫さまと、とっても勇敢でその人柄を表したように真っ直ぐで知的な瞳の素敵な王子さま。

 お姫さまはそんな王子さまと一緒に命懸けの冒険をして、瞬く間に恋に落ちてしまいました。  そんな時、王子さまが冒険中に命を落としてしまいました。
 お姫さまは湖ができてしまうくらい、涙をたくさん流して嘆き悲しみました。

 でもお姫さまには強い味方がいました。魔法使いの御先祖さまです。
 お姫さまは御先祖さまに泣きついて、王子さまを生き返らせてもらいました。

 王子さまだけじゃありません。
 冒険で倒れた仲間たち、そして戦った七人の暗殺者たちも、全て生き返らせてしまったのです。

 みんな奇跡が起きたことにとてもびっくりして、お姫さまとお姫さまの御先祖さまに大変感謝しました。


 冒険から帰った後も、お姫さまは大好きな王子さまに一日も早く元気になってもらおうと、一生懸命看病しました。
 御先祖さまとの約束通り、旅の仲間や七人の暗殺者の看病も、心を込めて一生懸命やりました。

 お姫さまのそうした心が神様に通じたのか、みんなすぐに良くなりました。
 こうしてお姫さまの優しく美しい心が王子さまに見初められ、二人は末永く幸せに暮らしました────────となるはずだったのですが、悲しいことにお姫さまは王子さまに選ばれませんでした。

 王子さまには、冒険中に必死に守り通した存在がありました。それは、実の父親に命を狙われた悲しき少女。王子さまは、少女が心配で堪らないのです。

 それは恋ではないのかもしれません。しかし家族のような愛情があったのは確かでしょう。王子さまが選んだのは、『お姫さまと幸せになること』よりも『少女を守ること』でした。

 お姫さまはこの世の終わりのように、酷く落ち込みました。王子さまが死んでしまった時と同じくらい、嘆き悲しみました。
 でも、お姫さま思いました。王子さまが死んでしまうよりも、生きていてくれた方がずっと嬉しいのだと。例え自分が選ばれなかったとしても、王子さまが死んでしまうよりはずっといいのだと、そう思いました。

 お姫さまの心の傷はすぐには癒えませんが、でもそれはずっとではありません。
 きっとこの悲しみは、幾ばかの時と、そして新たにできた七人の愉快で優しい友人たちが、いつか解決してくれることでしょう。


 ─────お姫さまの看病で元気になった七人の友人たち。今度は彼らがお姫さまの深く傷ついたハートを癒す番なのです。




 そう、これはあくまで『もしも』のお話




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