あのねえ、いちこちゃん。
古白に話し掛けられていちこは手を拭きながら振り返った。そこには満面の笑みの古白が立っていた。古白が面をとってからいちこはなんとなく彼の顔を直視できなくなってしまっていた。しかし最近は少しずつ見られるようになってきた。だから古白の笑顔をこうしてまじまじと見るのは初めてかもしれない。古白はもう一度いちこちゃん、と名前を読んだ。

「え、あ…ごめんなさい、なあに?」
「これ、いちこちゃんにあげる」
「え?」

古白の手の中にはクローバーの束があった。そうっと手を出していちこはそれを受け取った。

「これ、ぜんぶ四葉なんだよ!」
「ええっ、そうなの?!」

よくみると確かにクローバーの全てが四葉だった。いちこは驚いてクローバーと古白を交互に見比べた。これだけの量の四葉のクローバーを集めるのは大変だっただろう。そう聞こうと思ったが古白の言葉を聞いてやめた。

「いちこちゃんにもっともっと幸せがくるように、ね!」

古白は大変だったなどと考えてはいない。ただいちこを褒めて欲しかったのだろう。自分は愛されているのだとおもうといちこは顔を赤くした。

「いちこちゃん?」
「こ、古白くん、見ないでっ」
「どうして?」
「だって私、恥ずかしくって…」
「ふふ、可愛い」

古白はクローバーごといちこを抱きしめた。いちこは余計顔を赤くして、そして幸せそうに眼を閉じた。

(幸福に色があるなら、きっとこんな)
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「いっしょにねようよ」より古白といちこでした。あの2人は本当…ほわほわしていて可愛いですよね…!リクエスト下さった方、ありがとうございました。


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