※ED後捏造


世界の命運をかけた戦いであるラグナロクが終わり早数ヶ月。フェーダにいた子供たちのSSCワクチンの接種も順調に進んで、その治療も終盤に差し掛かってきた頃、ガロはエルドラドが用意した仮設住居にあるサッカーグラウンドに立っていた。特にサッカーをするわけでもなく、ただ立っていた。
1人の少女、メイアはそんなガロを建物から眺めていた。最初は何をしているのだろうという疑問から、今はただ何もするわけでないのに佇むガロから目が離せなくなっていたのだ。メイアはそんな自分が許せなかった。最愛の恋人であるギリス以外の異性から目を離せなくなる自分が。

「ガロ」

そんなメイアは我慢もできるわけもなく、建物から出てグラウンドに、ガロの元へ歩んでいった。春に近いといっても外はまだ風が冷たい。風で靡く髪を押さえて、ガロを見る。声で少女の存在に気がついたガロは振り向き、彼女を見た。

「何か用かよ、優等生」
「別に、好きで来たわけじゃないわ。ただ貴方が何をしているか気になっただけよ」
「別に、立ってただけだ」
「嘘。貴方みたいな人がそんな動かずに大人しくしているなんて、信じられない」

自分でも失礼なことを言っているのは分かる。でも実際彼はザンという荒くれ集団のほぼ中心的存在だった。そう思うのは仕方がないのである。

「…ザンの連中について考えてた」
「ザンの?」
「お前らギルみたいに頭良いやつが揃ってるわけでもねえ、能力がなけりゃ只の荒くれ者でどっちにしろ除け者扱いされる連中だ。それをどうするか、ってな」

意外だった、ガロがこんなに真面目に仲間のことを考えていただなんて。彼はザナークが来るまでザンのリーダーだったことを思い出す。それと同時にメイア自身、自分のチームであるギルのメンバーについてなんか考えてないことに気がつき、恥じた。

「…貴方にも勝てないことがあったなんて」
「…何か言ったか?」
「いいえ何も。それよりガロ、こんな冷えた場所じゃ集中力も切れてしまうわ、中に入りなさいよ。紅茶ぐらいなら淹れてあげる」

最愛の恋人相手でもないのに、メイアは彼に見えるような笑みをガロに見せた。自分でも不思議なくらい自然に。ガロはそんなメイアを不自然にも思ったが、彼はそんな些細なことを気にする性格ではない。気にする性格ではない、が、初めて自分に向けられる柔らかい微笑みに頬を赤くしたのは言うまでもない。



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