大変、まずい状況だ。一人の女子中学生が私の肩を借りて寝ている。気持ち良さそうに、すやすやと。 私はまだ仕事があるのだが、ため息をついて彼女、アミくんに視線を落とす。アミくんがパンドラについて聞きたいことがあると言ったから社長室に通したんだ。そしたらどうだ、ソファに座って話を聞こうとしたらこの状況。
「アミくん」 「ん…」
まだ寝ているようだ。寝ているから少し体温が上がっているのだろう、頬を赤らめさせて漏れた声に思わずドキリとしてしまう。まて落ち着け、相手は中学生だ。
「社長」 「…霧野くん、彼女を起こしてくれないか」
扉が開いて入ってきたのは秘書の霧野くんだった。私の姿を見て笑みを浮かべていた。ふと、霧野くんが近づいてきて気がついた。彼女が手にしていたのは薄手の毛布だった。
「霧野くん?」
くすくす笑いながら一枚を寝ているアミくんに、そしてもう一枚は寝てもいない私に掛けていた。焦って疑問を問うとまた霧野くんは笑っていた。
「社長、今の仕事は急ぎじゃありません」 「だが」 「最近睡眠をとられていないようですので。今日はお休み下さい」
にっこり笑って霧野くんが社長室から出ていった。もしかしたらアミくんは霧野くんに頼まれて、その為に来たんじゃないか?なんて思いってしまう。 するとCCMに新着メールが来たようだ。マナーモードにしていたからアミくんは起きていないようだ。良かった。CCMを開くとメールの主はさっき出ていった霧野くんだった。
『この提案はアミちゃんですよ』
驚いて隣で眠るアミくんを見た。あぁ、主犯はこの子か。なんて思い彼女の髪を触れる。
「ありがとうアミくん」
そう一言呟いて、この少女と秘書に優しさに甘えた。
//社長室でおやすみ
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