07/19(07:28)

「…なんだよ」

練習中ゴールを守ることのに集中しすぎて、ゴールポストに肩をぶつけた。少し痛むが試合には支障のないい程度の怪我だ。それでもベンチに座る俺を心配そうに見つめるチームメイト、の中でも一際小さく目立つのは森村好葉。声をかけると怯えたように悲鳴をあげた。

「あの、空野さんに氷、渡してって言われて、その」

小さな手元を見ると透明なビニール袋の中に見えた氷。痛む方とは逆の手を差し出せば、また驚いたように肩を揺らしてからゆっくりと俺の手にそのビニール袋を乗せた。

「助かった、悪かったな」
「ううん、うちは持ってきただけだから、お礼は空野さんに言って」
「それでも持ってきたのはお前だ」

肩に氷を乗せるとじんわりと痛む場所が冷えていく。ちらりと森村を見下ろした。俯く彼女は何やら小さな声で言ったようだが、残念ながら俺には聞こえなかった。

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