06/09(20:58)

玄関が急に開かれる音、そしてその勢いのまま扉が大きな音をたてて閉まる音、と同時にリビングへ飛び込んできた彼。うちはくすくす笑って息を切らす彼に笑いかける。

「アスレイったら慌てすぎやんね」
「き、黄名子が妊娠したって、言うから慌てて…」
「それにしても慌てすぎだよ」

ふふ、こんなに慌てるアスレイを見たのはプロポーズをしてきた時以来かな。あの時、うちがOKした時の、アスレイの慌てふためく様子は今でもよく覚えている。

「男の子か?それとも女の子か?」
「もうっ、そんなのまだ分からないやんね!…でも、うちね、この子はきっと元気な男の子だと思うの」
「…黄名子がそう言うなら、そうなんだろうな」
「きっとそう!それにもう名前も決まってるから男の子じゃないと困るやんね!」

そう、うちが少女だった時一緒に時空を旅した男の子と同じ名前。心の中であの子の名前を呟く。アスレイは不思議なそうでうちを見る。ふふ、この時代のアスレイは何も知らないから仕方がない。

「大丈夫、これから貴方が考える名前と一緒やんね」
「…それは不思議なことだな」
「でも、素敵でしょ?」

歯を見せて笑えばアスレイも頷きそれから微笑む。
大丈夫、大丈夫よ、この子はうちが守るの。だから待ってて、フェイ。

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -