06/23(21:15)

するりと顔から仮面が落ちた気がした。大会が終わった後に濃い化粧を落とした時の気持ち良さに似たソレは、多分私が今まで偽り作ってきた自分。愛想がよくて周りを気遣えて利用出来る人間から信頼を得られて、それからそれから……ああもう落ちたものなんでどうだって良い。地面に落ちた仮面をゆっくり拾うとソレはぼろぼろ崩れてまた地面へと落ちる。あーあ、私ってこんなに情けなくてぼろぼろだったんだ。落ちてくれてすっきりした。

「野咲」
「…何か用?鉄角」
「機嫌、悪そうだな」
「気のせいじゃない?私、今、とても機嫌良いよ」
「なら」
「?」
「その泣きそうな顔も、気のせいだなってことだな」

そう言われた瞬間ぼろりと目から流れ出た液体。鉄角に言われたからとかそんなんじゃないの。私は、私は、

「俺にはお前の考えてることなんて一切わからないけどな、俺たちがやってるのはもう個人競技じゃなくてチーム競技なんだから溜め込むのやめろよ」
「そ、そんなの、わかってる」

ぼろりぼろり落ちる涙はそのまま地面に落ちる。剥がれ落ちてぼろぼろになった仮面などもうどこにもなかった。
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