01/01(23:04)

白恋に派遣されてから、生暖かいぬるま湯に浸かっている気分でいた。今まで居たフィフスの施設では自分が生き残ることばかり考えていたから、当然のことかもしれない。
とにかく白恋はぬるい、勝つことを考えていても汚い手は一切しない。雷門戦で石にやらせたことにみんな顔を歪ませる。何故だ、これなら勝率が上がるじゃないか。何故喜ばない。
ぼやほやしている内に雷門戦は終わっていた。白恋の負け。フィールドの刺すような寒さは一層増した。ぬるま湯が一気に氷水に変わった、そんな気がした。


×××


「白咲には、白恋に残って貰うよ」

吹雪コーチはそう言い、また白恋から消えた。
正直意味がわからなかった。そこは厄介者である俺を追い出すべきだろう。あの人は何を考えているんだ。

「まあ吹雪コーチが言うなら仕方がないか」

口々に部員たちはそう言う。いやいや、なんだそれは。俺たちフィフスのサッカーを否定したのはお前たちだぞ。

「別に今更関係ないし…なあ、みんな」

開いた口が塞がらないとはこのことだろう。ニコニコと笑う部員たちに頭が痛くなる。けど、この空気嫌いじゃない。
再び浸かるぬるま湯の温度。ぬるくて嫌で仕方がないのに、嫌とは言えないこの温度。いつの間にか俺もぬるま湯の温度に慣れていたらしい。白恋が、心地よかったんだ。





(GK月間記念)

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