03/10(22:01)

プライベート専用の携帯画面を除くといつも通り不在記録とメールの山。送り主は1人、その相手に嬉しさとどうしようもなさにため息をついた。

「塔子さんも、案外しつこいな」

束縛されるのは余り好きではなかったのに、愛しい相手だとどうも良いように思えてくるのだから不思議だ。不在記録を読んで待ち受け画面から消し、それからメールを見る。

『今、どこにいるんだ』
『散々探しているあたしたちの身にもなれ!』

俺が世間から忽然と消えてから数週間、そんなメールが毎日に送られてくる。消えたのはフィフスセクターである聖帝の側近であるため。昔からの憧れである人から切羽詰まったように頼まれて、サッカーの未来のためと言われたら、断れるわけがない。…まあ、散々悩んで今に至るわけだからそうとも言えないかもしれないけど。

「!」

がしゃん。最後に最新のメールを見て、思わず携帯を机に落とした。慌てて落とした携帯を手にとり疑うようにまた画面を見ても、書いてあるのは驚いて携帯を落とした時と同じ言葉。

『虎丸に会いたいよ』

…卑怯だ。顔を真っ赤にして口元を押さえる。いや、でも、意外と策士な彼女のことだから俺を誘き出すための作戦かも。それとも塔子さん自身の本音?
答えが聞けるのはきっと全てが終わった後なのだろう。返信の出来ないもどかしさに襲われながら、携帯の電源を落とすのだった。

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