03/03(13:08)

まだマフラーを外すのは早かったかもしれない。両手を擦り合わせながら向かい風に思わず目を閉じてそう後悔した。3月といっても風はまだ冷たいし春とは程遠い気温に身震いを1つして、まだかまだかと待ち合わせの人物を待つ。

「アミくん」
「あ、悠介さん!」
「待たせてしまったようだ、すまないね」
「いえ!待ってなんかないですよ、私も来たばかりです」

少しだけ嘘をついた。でも楽しみで待ち合わせのこの場所に20分も早く来たのは私の方だし、悠介さんは悪くない。
すると悠介さんは呆れたように溜息をついて、自分のつけていたマフラーを外して私の首にかけた。柔らかくてとても温かい。

「ゆ、悠介さん?」
「女の子が身体を冷やしてはいけないよ。ほら、手なんてこんなに冷たいじゃないか」

悠介さんの大きな手に包み込まれた両手が一気に温かくなったように錯覚した。それが恥ずかしくて身体の中心が熱を帯びたようにも思える。
マフラーを外すのは時期が早かったかもしれない。でも、こうなるのなら、寒さぐらいどうってことないのかも。そう思った。
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