03/03(12:19)

時々私たちの皇帝は、子供のような顔する。年齢的に子供だから当然のことだけど、彼は私たちよりもずっと大人らしく振る舞うものだから、そう感じてしまうだけなのかもしれない。
私はなんとなくそれが嫌だった。子供らしい顔をすることではなく、常に大人らしく振る舞う彼が、だ。今もそう、何かを考え込んで難しい顔をしている。

「ねえサル」
「ニケ、どうしたの」
「ザンがまた街で暴れているみたいよ」
「困ったものだな、あいつらも」

瞳を閉じてやれやれと言うサルに焦りはない。ザンが街で暴れても何の支障はないからだろう。
屋上の、脚を踏み外したら落ちそうなところにサルは座っていた。私もその隣に腰かける。彼は私を見て不思議そうな顔をした。

「…浮かない顔をして、なにかあったの?」
「何も、ないわ」
「無駄なこと言うなよ。僕は君の心が読めるんだよ」
「…私の心、読んだことなんて一度もない癖に」

バレたか。とからから笑うサル。あ、その顔好きかも。なんて思ってみたりする。

「ねぇ、サル」
「なんだい、ニケ」
「そういう顔のが、私は好きよ」
「…そう?」
「そっちのが素敵に見えるわ」
「じゃあ、努力してみるよ」

にこりと笑う顔は、私の嫌いな意識をしたような笑顔。…いつか私に自然な笑顔を向けてくれる日が来るのだろうか、来ると良いなとぼんやりそう考えた。
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