02/25(22:27)

最近吹雪くんの背が大きくなった気がする。
私は周りより極端に背が小さいから、誰と話すのにも顔を上げるのは変わりない。変わりないけど、男の子の中でも小さい方だった吹雪くんと話す時は多少楽だったのに、最近は首が痛くて仕方がないのだ。

「…悲しいべ」

くすんと鼻を啜って吹雪くんを見上げる。吹雪くんはキョトンとした顔で私を見下げる。それから何を思ったのか私に目線を合わせるようにしゃがみこんだ。

「何が悲しいの?」
「…吹雪くん、最近背が大きくなってるから」
「ああ、確かに、最近目線が高いかも。でもそれがどうかしたの?」
「吹雪くんが、どんどん遠くなってる気がするんだべ」

そう素直に言ってみる。
そっと伸ばした手は吹雪くんの頬に触れる。彼がちゃんと立ったら、きっとこの小さな手は届かないのだろう。そう思うととても悲しいのだ。

「うーん…紺子ちゃんがどう思っているかは、僕にわからないけど」
「吹雪くんには絶対わからないべ」
「でもね、背が高くなると紺子ちゃんの顔が遠くなるのは、少し嫌だな」

長い睫毛が縁取るその目を閉じて微笑む吹雪くん。ああもう、吹雪くんに敵わないべ。


空になんか届かなくてもいいわ、あなたに届くだけでいい/title by 寡黙

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