03/17(19:27)

※パラレルワールド


今日は久しぶりに去年卒業した剣城さんやってきた。彼は面倒見がよく後輩からとても慕われている先輩だったから、部員全員で彼の突然の訪問を歓迎した。いつも通りサッカーをして、直す部分があれば剣城さんは指導する。そう、いつも通り。
暫くしてやってきた休憩時間、ドリンクを飲む私の元に剣城さんはやってきた。同じポジション故にお世話になることも会話をすることも多かった。でも何故わざわざ私の所へ?理由は特に思いつかないが、別に良い。ただ純粋に、私自身が嬉しいから。

「やあ、神代さん」
「こんにちは」
「元気にしていた?」
「ええ、まあ」

他愛もない会話を数回繰り返したところで、剣城さんは黙り込んで俯く。気分が悪いのだろうか、もしかして私が気に触ることを言ってしまったのか。私は恐る恐る彼の名前を呼ぶ。ハッとした剣城さんは苦笑して私謝り、そして口を開く。

「本来、君の傍にいる剣城は俺じゃないんだよ」

言っている意味は本当に分からなかった。そろそろ夏も終わるし暑さで頭がやられたとかそういうわけでもないだろう。眉間にシワを寄せると彼は笑ってまた私に謝った。わけがわからない。

「多分君のクラスにいるだろう、剣城って」
「…いますけど、話したこともないです。…あの人って貴方の弟さんでしたっけ、あまり似ていないけど」
「言ってくれるなあ」
「だって、不良って、やつだし」
「兄弟の俺が言うのもあれだけど、あれは京介の本心じゃないよ」

懐かしむような、でも寂しそうな目をして剣城さんは言う。深くは聞いちゃいけないのかな。何となく思ってドリンクにまた口を付けた。横目で見た彼の腕には見覚えのないブレスレット、アクセサリーなんて付けない彼が珍しいな。
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