01/15(22:43)

※ネタバレ








部屋に戻ってきてベッドで眠るフェイを見て酷く安心した。ちゃんと戻ってきたんだ、僕のところに。元々僕が彼を突き放したに近いし、仕方のないことだったけど反省だってしている。でも、彼が僕の元に戻ってきたことは、他のものがどうでも良くなるくらい僕を満たさせた。

「フェイ」

耳元に口を寄せ、起こさないよう小声で彼の名前を呼ぶ。くすぐったいのか、フェイは身震いを1つした。とにかく行動の全てが愛して口元がにやけてしまう。

「…おかえり」
「…また、それ?」
「、なんだ起きてたの」
「君が名前を呼ぶから、起きちゃった」

ベッドから上半身を起こして微笑むフェイ。少し疲れたような笑みだった。

「サル?」
「フェイ、おかえり」
「もー…それ何回言う気?」
「じゃあただいま、って、言ってよ」
「……ごめん」

俯くフェイに、僕は苦笑した。まだ、フェイは僕の元には戻ってきていないらしい。
僕はフェイらしいよ、って強がって「自分から雷門を離れてきただけで合格」と加えて嫌味を言う。フェイの表情が歪むのをチラリと見ながら、部屋を後にした。



∵まだ少し遠いてのひら(title by icy)
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -