◎佐田雛 「佐田!」 凛とした声がグラウンドに響いた、とその瞬間に顔面に衝撃が走った。どうやら、ぼーっとしていた俺にボールが当たってしまったらしく。地面に倒れた俺に真っ青な顔で駆け寄って来たのは、俺の名を叫んだ雛乃で。なに泣きそうな顔をしてるんだよ、ボール蹴ったのお前じゃないだろ。へらりと雛乃に笑いかけて意識が落ちた。 「…佐田?」 「………頭痛い」 「当たり前でしょう、太陽のシュートが頭に直撃したんですから」 呆れた口調で言う雛乃に記憶がないなあ、と呟けば眉間にシワを寄せてまた怒鳴りそうな体勢をとった。 「あーあー落ち着けって、ここ保健室だろ」 「落ち着けますか!僕は貴方を心配して…」 「うん、普段大声出さないお前が叫んでるんだから、分かってる」 「…佐田のばか」 普段とは逆だなあ、なんて呑気に思いながら泣きそうな雛乃の背中に腕を回した。 意味わかんね ← |