ミカアミ


化粧が知りたいのだと、目の前の彼女は私に言った。理由はわからないけど頬は赤く染まっているのと、最近の話題からして、デートとかそういうのかなって。アミはかわいいから、そんなの必要ないじゃない。少しムッとしたからわざとらしく言ってみたら、アミは慌てて両手を振り否定。否定なんて、しなくて良いのに。謙虚なあなたも愛らしい。くすくす笑いながら、鞄に入っていたポーチに手を伸ばす。

「そこに、座って。少しだけなら教えられる、と思うから」

私の前を指指して言うと彼女の表情は一気に明るくなり、私の手を握り礼を言った。

「あの人にね、似合う人になりたいの」

大人のあの人のために一生懸命背伸びをしようとする彼女。アミの背伸びする足に私の足をかけて、背伸び出来ないようにしてしまおうか。…私にそんな勇気なんてないのにね。
自分で自分に笑いながら、ポーチを開けて中の化粧品に手をつけた。



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テーマ「人外ファンタジー」
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