冴渡と影浦


気が合わない、純粋にそう思ったのは入部したての頃からで、彼に対する苦手意識は今も続いてる。雑な所とか、派手な所とか、それでも周りから人気がある所、とか。

「冴渡って俺のこと嫌いだよな」

…あとこういう風に空気を読まない所かな。

「そんなことはないよ」

キャプテンらしい営業スマイルでそう答えると、影浦は口を尖らせて何を思ったか僕の両頬を両手で覆ってきた。グローブのざらざらした感覚がなんとなく気持ち悪いが振り払う訳にもいかないな、と笑ってみせた。少しひきつった笑みだが勘弁しておくれ。

「ひくひくしてやんの」

にやにや笑いながら言う影浦な腹をたて、思いきり手を叩き落とす。品の良いキャプテンなんて知ったことか。幸いここにいるのは僕と彼だけだ。

「確かに君は生理的に受け付けられない部分もあるな」
「やっぱりな!思った通り!」

…嫌いと言われたのになんでこいつは上機嫌なんだ。こういう馬鹿は苦手だ、呆れてため息をつこうとした所で影浦が嬉しそうに口を開く。

「俺も冴渡のこと好きじゃないしちょうど良かったわ!」

ピシリと僕の動きが止まるのを見て、彼の笑顔は一層嬉しそうになった。やはりこいつ、嫌いだ。




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テーマ「人外ファンタジー」
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