※途中で切れます あ、しまった。 瞬時に状況を理解してくれた脳も、急所を庇うまでは指示してもそれ以上、言わば回避までは出来ず。 頭上へとおちてくるこの部屋の主の臨也の私物やら仕事の物やらから咄嗟に頭を庇って目をつむる。 俺は臨也に頼まれて部屋の片付けをしていた。ここ最近臨也はまともに休憩すらとれない程忙しいようで、申し訳ないが、と珍しく俺に頼んできたのだ。俺が訪ねてきた時のあいつの顔は酷く焦燥を含んでいて、とても見れたものじゃなかった。そんな仕事もどうやら今日で終わりらしい。俺と会話していても仕事から目を逸らさなかった臨也の声がそれを告げるときだけ僅かに嬉しそうだった。 そんなこんなで、仕方ないからやってやろうと始めた片付け。本やら書類やらを懇切気を遣って棚やらファイルやらに片していく。 前に数回仕事を手伝わされた経験(といっても企業秘密とやらのような重要な物ではなく、誰が見ても大丈夫と思える書類の整理だけだが)を元に細心の注意をはらう。 間違えて更に臨也の手を煩わせるのは嫌だ。間違えてため息をつかれるのも嫌だ。間違えたのに、俺の心情に気付き気を遣ってくれるのも、嫌だから。 なのに、なんてこった。 一通り片付けが終わり、細かい棚の整理を行っていただけなのに。別に背伸びをしていた訳でもないのに。こんな成人した大男が棚の物に手を引っかけ横転だなんて、笑えない。 「…!」 ガラガラ、ガシャンバリン バラバラ、パキッ どうやら、手を引っかけた時に棚上に並んでいた物へ触れてしまったらしい。鈍い音から軽い音、更には割れる音などが、一気にざわめき出した雑踏のように俺の周りで奏でられる。 本が倒れたような音だけなら、まだ本は元の位置に直せるだろうに、中には何かが割れた音がした。高いところになんてものを置いているんだと問い詰めたくなるのを抑え、一瞬にして静寂に包まれた部屋を見渡す。 どうやらそこまでたくさんの物が落ちた訳ではないらしい。心の片隅で安堵しながら再度片付けるべく立ち上がる。 その時、足元にガラスの破片が見えた。破片を辿ると、俺の真横で無惨に割れている花瓶が2つ。これまた高価そうな花瓶だ。ああ、今度こそ臨也に呆れられる。じわじわと焦りや後悔など負の感情が心に押し寄せてくるのを感じていて、気付いた。 花瓶の破片がところどころ赤いのを。花瓶を通り越した俺の足元の床が、赤いのを。 瞬間両手に走った鈍い痛み。ちくちく、じくじくとした痛みに咄嗟に両手を視界に入れる。 「……あ…」 真っ赤。 俺の両手は、真っ赤だった。 「……はあ?」 でも、やはりと言うべきか痛みは見かけより遥かに少ない。 よく目を凝らして見てみる。たくさんの切り傷が手の平を覆っていて思わず感動してしまった。 俺の体は丈夫なはずなのに、何故こんなに血まみれになったんだ?痛みを感じにくい故に、床に散らばったガラスに気付かないまま手を置いて力を籠めてしまったとか?おかげで手の平には予想以上のダメージが?んな馬鹿な。 「……片さなきゃ」 自分の血に呆然としていたところでふと我に返る。ああ、まずはこの血で塗りたくられたような両手を洗おう。 「………静雄?」 玄関へと続くドアから俺を呼ぶ声。振り向くとそこには、俺の私服を身に纏った津軽の姿が。手に買い物袋らしき物を持ったままドアの前で立ち尽くしていた。 そうか、津軽は買い物に行ってたんだった。 「おかえり、津軽」 さあ手を洗おう。津軽に軽く挨拶をして台所へ向かう。台所へ行くには部屋を出なければならないから、必然的に津軽の横を通り過ぎる。相変わらず立って変な顔で俺を見たままの津軽に血まみれが当たらないよう注意しつつ通り過ぎた。 「…っ静雄!!」 「え」 今までただ突っ立っていた津軽が俺の腕をすごい勢いで掴む。津軽にしては強引な行動に思わずぱちくりとしてしまった。 「津軽?」 「…な、何、これ。……怪我、…血?…これどうしたんだ、静雄」 津軽が真剣な眼差しで血塗られた手を見つめ、ぼそぼそと言葉を紡ぐ。 「いや、花瓶が割れてよ、それで」 「怪我したのか」 一際低くなった声に顔をあげた。目の前の津軽は心底心配そうな顔で、更にそれにはどこか悲しさなどの暗い色が混ざっている気がして息を呑む。 ――――――――― 気力がありませんでした´ゝ` 静雄が怪我した! ↓ 第一発見者津軽、おろおろして涙目になる ↓ 次に気付いたのはサイケデリ雄、サイケびっくりデリ雄適切な処置しようとする ↓ そこで臨也登場、静雄の怪我に気付く ↓ すごい心配してうろたえる みたいのを目指して玉砕した文でした^∪^ |