ぽかぽかとちょうどいい気温で、その上今日の授業は退屈な授業ばかりだった。そのため眠い授業が更に眠く感じてしまっていた。そりゃあそんな授業は成長期にある男子高校生は寝るしかないわけだ。でも、でもね、 「だからって放課後までは寝ないよね…」 「しっ!うるさい新羅!シズちゃん起きちゃう!」 臨也が静雄を見ながら自分の口に人差し指を当て、僕に向かって待ったと手の平を向けた。ごめん、と素直に従っておく。 静雄は今日の眠い授業の連続に堪えられなかったのか、全ての授業と言っていいほどぐっすりと寝ていた。って、いつも寝てるけど。そして今というわけだ。放課後になった今でも静雄は起きる気配がない。机に突っ伏して、偶然顔をこちらに向けて寝ている状態。そんな寝方をしたら臨也が喜ぶだけなのに…まあ寝てるから仕方ない。 「……臨也、帰っていいか」 「いいよ」 「っちょ、待ってよ…!僕一人にする気…っ」 「いや…俺が居る意味ないだろ」 「僕もない!」 「ダメだよ新羅。せめてどっちかが居ないとシズちゃんが起きた時怒り狂うからさ」 「だってよ、頑張れよ新羅。じゃーな」 「いやだ門田君見捨てないでよお願いだから…!」 ちなみに小声である。 そしてもう少し言うと臨也は会話で一度もこちらを見ていない。静雄をガン見である。 僕は帰ろうとする門田君にしがみついて阻止していて、臨也は静雄を見ながら僕の服を引っ張って帰るなとその行動が言っている。 「…ん……」 「!」 静雄がもぞりと動いた。ぎゃんぎゃん騒いでいた(しつこいけど小声)僕たちがぴたりと止まり、全員で静雄を見る。ただ臨也はぱあっと表情が明るくなった。殺し合いのような喧嘩しておきながらこれだから、一体臨也は何がしたいのか僕にはさっぱりだ。 「き、聞いた…っ?シズちゃんが、『…ん……』だって性的マジ性的…!」 「よ、よかったね…」 「新羅、離せ」 「門田君酷いよ…!」 門田君は帰ることしか頭になくなったらしい。僕だって早く帰ってセルティと映画見たいのに!セルティが待ってるのに帰れないなんて…全ては臨也のせいだ。キッと臨也の後ろ姿を睨みつけるけど、こんなの何の意味もない。もし臨也が後ろを向いていなかったら、僕は睨む事はできないはずだ。臨也を敵に回したら色々面倒だしね。 「…ん、あ…?」 「あ、起きた」 静雄が目を擦りながら起きた。あーやっと起きた…。帰れる、これで帰れるよ僕らは。ちなみに静雄が起きてから第一声を発したのは僕だ。第一声が臨也だったら確実にキレてる。殴ってる、教室崩壊してる。臨也が何か言う前に僕が言っておいた。被害を抑えるために…って僕はどれだけ気を遣ってるんだよ全く…困るよ。 「…は、もうんな時間なのか…。学校終わってんじゃねーか起こせよ」 「あーごめんごめん」 「誰も手前に起こせなんて言ってねーよ勘違いすんなノミ蟲」 「………」 えっ、僕睨まれた臨也に睨まれたけど何で。ただ静雄が臨也を見て殴らなかっただけ良いとする。僕頑張ったよね、頑張ったよね…!門田君にしがみついたままだけど頑張った! 「じゃあそろそろ帰ろうか」 「やっと帰れるな」 帰る準備をして四人で教室を出た。結局いつもこのメンバーで帰ってる気がするんだけど…どうなのかな。 静雄はまだあくびしてるし眠そうで、臨也はそんな静雄を変な笑み浮かべて見てるし、門田君は呆れたように二人を眺めてて、僕はセルティで頭がいっぱいだった。そういえばセルティ先週の世界ふしぎ発見、見てないんじゃないかなあ。 「シズちゃん、今度ジュースでも奢ってあげるよ」 「は?何でだよ」 「今日はいい物見させてもらったし…」 「何見たんだ?」 「シズちゃんの寝顔」 あー。言っちゃうんだ。 「死ね臨也」 「っんぐ」 臨也の腹に静雄のパンチが見事にヒットして臨也が倒れ込んだ。ああもう知らない、知らないからね。僕は早くセルティと家で映画見るんだから知らな…… 「新、羅…」 「……………なんでよりによって僕の足掴むの臨也」 結局こうなるらしいです。 苦労人の事情 _______ 『セレーノ』のもかさまから素敵な相互記念小説をいただきました! 細かいリクエストでしたのに、4人ともみんな可愛すぎて…!! 新羅の巻き込まれ具合や臨也のガン見具合やドタチンのスキルやら素敵すぎます>< もう本当ににやにやさせていただきました! いつもサイト様にて素敵な萌えをいただいているのに、このような形で個人的にまでいただけるなんて私幸せ者ですね(´//`) 無茶ぶりなリクエストでしたのにこんなに素敵な小説本当にありがとうございました!!>//< |