ご執心 | ナノ



◎読まれる前に[派生キャラの性格まとめ]をご一読くださると読みやすいとおもいます◎

※日々也はピク支部等でよくみられるような素敵王子様ではない
※とてもデリ日々っぽい
※でも書いた本人は日々デリのつもり
※最後の最後で無理矢理日々デリにした感が否めません






「ん、…ちょ、デリック…」

ちゅ、ちゅと軽めのリップ音が部屋の中で響き渡り日々也は身じろぐ。日々也よりも頭半個分背の高いデリックは、先程から日々也へのキスの作業に勤しんでいた。
口にきたとおもったら頬に、目元に、額にと落ちる唇に日々也は為されるがままで必死に向かい合っているデリックの肩を押す。

「ちょ、…ん、まって、まってデリック!」

肩を押す力があまり強くない事に調子にのって口ばかりにキスをしていたら、本格的に肩を押された。それに少し驚いたデリックはぱちぱちとピンク色の瞳を瞬く。

「デリック…。…ちょっと、しすぎ……」

デリックから一定の距離をとれたため腕の力を弱めた日々也は俯いて、それを見るなりデリックはほんの僅か眉をさげてしまう。綺麗な透き通っているピンク色が日々也の黒髪を映して揺れた。

「………嫌だったか?」

「…いやっていうか、…何て言うか…」

日々也の頬が真っ赤に染まる。恥ずかしい、そう直接考えてしまい更に顔を俯かせた。別に嫌じゃないけど恥ずかしいんだよ。そう伝えたいけれど自分にそんな勇気はない。日々也は頬の熱を冷ますために目をぎゅうと閉じた。

「…悪い、そっか。」

今まで体に回されていた腕が離れ、反射で日々也の瞳がひらく。琥珀よりすこし茶がかった目がいなくなった腕を追うと、今度は日々也自身の腕が肩から離された。
日々也よりも一回り大きい手の平がやんわりと日々也の手首を掴んでいる。顔をあげてしまった日々也の頬の赤みはもうとっくに引いてしまっていた。

「…デリック、?」

「…ははっ 兄ちゃんと津軽みたいにしてみたかったけど、俺らにはまだ早かったみてえだな!」

瞳が寂しそうに揺れていたと思ったら明るく笑い始めたデリックに、何とも言えない罪悪感にかられてしまう。そしてやんわりと捕まれていた腕からぬくもりが消えた途端、日々也は頬がまた熱をもった気がした。
――『兄ちゃんと津軽みたいに』って……。それって、俺とああいうことがしたいってこと?あんな、相手しか見えてないように……。
デリックが言っていたサイケと津軽の様子を思い出し、頬の茹で上がるような熱を再確認したら、頭に重みを感じる。デリックの手だ。

「悪かったな。さ、あいつらんとこ戻ろうぜ」

くるりと日々也に背を向け歩き始めてしまうデリック。目の前がいきなり広くなって、心臓がちくりと痛んだ事に日々也は思わず声をあげた。

「まって!」

デリックがこちらを向く。ピンク色が日々也をとらえ、どくどくと心臓が激しい主張を始めた。

「俺、嫌じゃ、ない……。恥ずかしいだけ、だよ。嫌なんて…これっぽっちも思ってない…!」

ああ、こんな事を言うだけでも恥ずかしくて布団をかぶって埋もれてしまいたいのに!なのに、なんであの2人は、目の前のこの人は、簡単に好きだとか言えちゃうんだ。

「それに、むしろ……う、嬉しい……っ」

あ、最後のは言うつもりなかったのに。でも、もう後の祭りだ。言ってしまったのだから、デリックの耳に届いてしまっただろう。
今までいろいろな所へと泳いでいた視線をデリックにあわせる。ぽかんとしてるかな、なんて思っていたから逆にこちらがぽかんとしてしまった。

「なん、だよそれ……。」

はは、とデリックからは笑みが零れていた。嬉しそうに笑っているデリックに日々也は理解がすこし遅れ、更に笑われる。

「お前、かわいいな」

「…………!?」

「恥ずかしいからやめろって、でも嬉しいって、おま……」

肩を揺らしながら笑うデリックと、それに戸惑う日々也。デリックの言葉に日々也は勢いよく首を横に振り口を開く。

「かわいいって、そ、それは嬉しくない!」

「はは、さっきのも目泳いでたし、お前やっぱかわいすぎ!」

「なっ そ、それなら……っ」

「……やっべ、やっぱ俺お前がいいや」

え。
ぽつりと呟かれたいきなりの爆弾投下に目が見開いてしまった。
俺がいい?何が?誰が?――デリックが?
日々也の脳内はもう容量オーバーでパンク寸前だった。だからか、デリックにも日々也自身にも予想外の返事を繰り出した。まるで、枷が外れたかのように。

「だったら、俺もデリックじゃないと嫌だ…!」

「……え、」

「かわいいとか、デリックの方がかわいい!笑顔きらきらしてるし、表情ころころかわるし、絶対デリックの方がかわいいから!!」

「…日々、」

「だから!……ごめん、本当は、……っ、……もう一回、したい……!」

腕で顔を隠す。もういろいろと日々也にとって限界だった。勢いにまかせて言ってしまったが後悔だらけ。その中には、引かれたらどうしよう、そしたら俺泣くかも、なんて思いもあった。

「………顔、隠すなよ」

「や、やだ」

「…嬉しい、お前の本音聞けて」

「…!し、知らない!俺は恥ずかしい!」

「なあ、日々也、こっち見て」

言われて、ちらりと腕の隙間からデリックを覗き見る。先程の台詞と今の様子からして引かれていないようでひどく安心した。
隙間から見える日々也の好きなデリックの笑顔。きらきらしていて見ていると胸がほんわかしてくるデリックの笑顔。なんでこうも惹かれるのか問いたくなるくらい、いつも目を閉じたら浮かぶデリックの顔。

「…デリック」

「ん?…だから腕とれってー」

「…好き」

「え」

「ごめん、好きだよ」

もう、今日の日々也の調子はガタガタだった。
―――デリックには調子にのられるし、言うつもりのなかったことまで言っちゃったし、最後にはずっと言えなかった、言わなかった本音まで漏れるし。……だから、もう、
最後まで堕ちてしまえ。

「……日々也、」

「……もう、言わないからね」

「うん、大丈夫、わかってる。…嬉しい、俺も日々也好きだ」

「……お世辞言っても何も出ないよ」

「お世辞じゃねえよ。はは、今日は日々也のデレ期だな!」

じわじわと胸全体に広がっていく嬉しさに思わず涙目になってしまって、デリックは袖で乱暴に目元を拭う。あの日々也が、例え勢いだとしても告白の言葉を口にしてくれた。今までずっと、ずっと待っていたこの2文字。
未だ顔を覆っている腕ごと日々也を抱きしめる。いきなりの体温に腕の中で肩が僅かに揺れた気がした。

「でり、」

「あんがとな。嬉しい、俺今超嬉しい。」

「……そんなに?」

「そんなに」

「………そっか」

もぞもぞと背中に日々也の腕が回ったと思ったら、ぎゅう、と強く力をこめられる。何となくそれに応えなければならない気がしてこちらも強く抱きしめる。頭の片隅には、このままひとつになれねえかな、なんてピンク色の発想。自身の顔のすぐ下には、柔らかい黒髪。恥ずかしいのか時折小さく動く日々也にものすごい愛おしさ感じた。

「……デリック、俺、負けないから」

「何に?」

「…デリックの、背。いつか超して、どや顔で隣に並んでやる」

「はは、日々也のどや顔とか臨也みてえ」

「…元々臨也さんがオリジナルだもん、例え俺が泣いたって臨也さんみたいだよ」

少し拗ねが混じった声色に思わず笑ってしまう。俺達は心は成長しても身体は成長しねえんだよ。そんなこと、言えない。それに日々也がそんなこと承知済みだということはデリックにはとっくにわかっていた。
デリックみたいに大きくなりたい。
日々也の口癖のひとつだ。それにいつもデリックが同じ返事をして、更に日々也もテンプレになりかけている返事をする。これはもう日常のひとつとしてなりたっていた。

「大丈夫、すぐでっかくなるって。でも俺今のままの日々也のが好きだな。すっぽり納まるし、かわいいし」

「かわいくないから!この背の高さからだとデリックのイケメンが磨きがかって見えるから嫌なの…!」

「ははっ 嬉しいこといってくれんじゃねえか」

デリックの胸にぐりぐりと頭を押し付け「それにデリックのがかわいいって言ってるじゃんわかってよ馬鹿」とぶつくさ言っている日々也は、やっぱり臨也に似ているなあと改めて思ったデリックだった。


かわいい彼にご執心


「デリックー!」
「あ、兄ちゃん」
「やっほー!…あ、ねえねえ、日々也くんにおそわれたり、してない?」
「っおそ…!?…あ、ああ、ねえよ、だいじょぶだいじょぶ。つか日々也が襲ってきたらそれはもう日々也じゃねえな」
「そうなの?でも日々也くん俺といるといつもデリックかわいい、食べたらおいしいかなって言ってるよ?」

なんだそれ初耳。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
結局のところ2人ともかわいいんですよね。



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