※死ネタ ※いつものように臨也キャラ崩壊 ※臨也の片想い かどうか等はご自由に 今日はセルティと話してるシズちゃんを見つけた。今日はあんまり鼻が利かないのかな?意外と近い距離にいるのと思うのに、シズちゃんは親友の首無しライダーとお喋りに夢中。セルティのPDAを覗き込む度に金髪が揺れて、表情が和らいだりほんのすこーし曇ったり。 俺には見せない、貴重な顔。 それがあんまり幸せそうだったから、今回は素直に逃げてあげた。 次の日、上司の田中さんと肩を並べて歩くシズちゃんを見付けた。流石に昨日みたいにはいかないだろう、と素早く身を隠す。最後に視界に移った、田中さんに頭を撫でられるシズちゃんがまたしても嬉しそうで照れ臭そうで、可愛かった。 やり直したかった。出来る事なら、普通の関係としてシズちゃんと出会いたかった。 ずっと、そう思ってた。 俺は、シズちゃんが大好きだ。 地を這うような低音が俺の名を呼ぶ。振り向く暇もなく走り続けると、右すれすれに自販機が降ってきた。危ない。声、顔には一切出さないけれど、内心焦っていたり。 でも、ぶつからなかったということはまだ運は尽きていないんだ。そうだ、何事もポジティブに考えよう。 そう思ったら今度は視界の左端に標識のような物が見えて、咄嗟に屈む。刹那、頭上にブンと風を切る音がして、ヒヤヒヤしながらすかさず前へと足を動かした。 ちらっと見ると、息切れし始めている自動喧嘩人形。 あのしかめっ面が、上司や弟に親友と、心を開いている人を目の前にするなり途端に柔らかくなるなんて、俺意外でも知ってる事実だ。 でも、自分に嘘をついて、虚しく空っぽな優越感に浸るのが俺の日常だったり。 ああ、今日もシズちゃんは美人さんです。 「いーざーやー…」 美人さんとか内心にやにやしてたらあっさりと捕まった。 俺を目の前にして、怒りが頂点に達しているのか血管がびきびきしてる。折角の美人さんが台無しですよぅ!なんてね。 路地裏なんてベタな場所で、ぎり、と捕まれている腕が痛い。 「なんでそうテメェは池袋に来るんだ?ああ?」 そんなのシズちゃんを見るために決まってるじゃない。なんて、口が裂けても言えない。俺達は常時殺し合う仲。例え俺がそんな彼相手にピンクの感情を秘めていても、それは変わらない。 さあて、ボロが出ないうちにナイフででも威嚇しますか。今日は何ミリ刺さるかなーっと。 「ねえシズちゃん、痛いんだけど」 そう腕の痛みを訴えて眉間にシワを寄せれば、相手は更に形相が険しくなる。その隙に、空いてる腕ですらーっと水平にナイフでその綺麗な体を、 そこまでナイフを動かしたところで、耳が莫大な鈍い音に犯された。 バァンだとかズガンだとか、それは俺も良く知っている、日本では基本的に違法に当たる音――。 すると、どさ、といきなりシズちゃんが俺によっ掛かってきた。 え、何?怖くなっちゃった?銃声で?もう、シズちゃんって雷で怖くておへそ隠すタイプ? 平和ボケした事を考えていたら、右から異国の言語が聞こえてくる。へー外国人かあ、銃持ってるとか怖いなあ。 「…シズちゃん?どうしたのー?」 いつまでもシズちゃんが無言で、思わず声をかける。 そういえば、捕まれていた腕が自由になっているような。あれれ、それはさすがに違和感。 ――違和感。そう、違和感。 シズちゃんの髪を伝って、何かが俺の首元を濡らした気がした。 生暖かい、何か。 一瞬シズちゃんの涙かと思った。最悪、鳥の糞かとも思った。 「……シズちゃん?」 変わらず返事はない。動く気配もない。 敢えて言うなら、生暖かい液体だけが絶え間無く首元に溜まっていく。 ちょっと気になってシズちゃんの方に顔を向けてみた。 瞬間包み込まれたような、ツンとした、不快な臭い。 血の、臭い。 「――――!!」 咄嗟にシズちゃんの体を起こした。 「……ぁ、」 シズちゃんの体は、力が抜けきっていて、目は、色を無くしている癖に怒りに見開かれたまま。 薄暗い路地裏では見にくいけれど、真っ白の肌に金の髪が映えていて、こめかみを彩る赤がまた綺麗だった。 でも、もう純粋に綺麗だなんて、言ってられなかった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 続きます。 |