ある日のこと。
私はいつものように城門前の掃除をしていました。季節はもう冬間近で木々の葉は全て枯れ落ちてしまいました。ついこの間も軍の皆で紅葉を見ながら宴をしたのですが…そんな面影も感じさせないくらい殺風景になってしまいました。なんだかさみしいです。


『……あれは、』

遠くから何人かの足音が聞こえてきます。3〜4人、といったところでしょうか。先頭には綺麗な髪色の人。今にも消えてしまいそうなくらい儚げです。その人の両脇には黒髪短髪のスラっとした人と同じく黒髪を緩く一纏めにしているやわらかそうな雰囲気の人。そして後ろにはオールバックで煙管をくわえている人。


『いらっしゃいませ、元稀様』

「……元親はいるか?」

『もちろんです。案内致します』


長宗我部軍の方々がいらっしゃいました。
…今日も問題が起こらなければ良いのですが。








―――――――――――――――――



「よく来たな、元稀!まあ、ゆっくりしてけや」

「ああ、」


広間に長曾我部軍と長宗我部軍が集まっています。
初めて会った頃に比べて険悪な雰囲気になることはずっと少なくなりました。お互いのことを理解してきたという証拠でしょうか…もっとも“あちら”にこちらへの関心があるとは到底思えませんが。


「茅殿?」

『はい、何か』

「某の顔に…何かついておりますか?」

『…いえ、失礼しました』


千雄丸様に考えていたことが感づかれたのでしょうか、そう言われてしまいました。私が謝ると一瞬だけフッと笑ったような気が。


「…茅」

『はい?』


今度は隣に座っていた親忠様が私の名を呼びます。
何か問題でもあったのでしょうか…?



「……寝ていーい?」

『え、ちょっ…親忠様!?』


小声で話していたはずがいきなり肩にもたれかかってくる親忠様に、思わず声を大きくしてしまいました。


「どうした、茅…って親忠!!てめえまた…!!!」
「忠兄!今はお客さんが来てるんだから!!」


信親と盛親が必死に親忠様を揺すって起こしにかかりますが本人は微動だにしません。すでに夢の中へとおちていったようです。


「父上、元稀様にみなさんも…弟が申し訳ありません」


親和さまがすぐに謝ります。流石と言うべきでしょうか、こういうところに関しては軍の中でもしっかりしています。


「まーた親忠か…どうしようもねぇな、こいつも」

「姫の教育がなってないからこんなふうに育ったんじゃないのーぉ?」

「なっ…!!!海神!いきなり出てくるんじゃねえ!!」

「いいっしょー?別におれの勝手なんだしい」


へらっと笑って元親様と話すのは元親様の武器である碇槍――海神様で。元親様の隣に腰をおろしました。海神様は神出鬼没といいますか、いきなり気配もなく現れるのでいつも驚いてしまいます。
信親様と盛親様、福留様は周りに気づかれない程度に殺気を放ちます。気づいているのは私と海神様だけ。海神様は全く敵意もないので片手をヒラヒラと振ります。それを見て3人は構えを解きました。あぁ、良かった…。

元親様は苦笑いしながら元稀様たちに改めて謝罪します。
元稀様たちは何でもないように―――興味がないだけでしょうが―――大丈夫だ、と短く返します。


「しっかしまあ…すごいな。変に肝がすわってるというかなんというか」


福留様が可笑しそうにそう言います。
…確かに親忠様は戦の最中でも寝てしまうときがあります。本当に困ったことなのですが、それでも今まで死なずに生きているのは奇跡というか、生まれもった運というか…


「やはり一回きつく言い聞かせないといけませんね」

「何を言っても親忠様は途中で寝てしまうでしょうから無理だと思いますがねえ…」


黒い何かを纏った忠澄様と遠回しに気づかれないようにやめさせようとする隼人を見て再び可笑しそうに笑いだす福留様。


「隼人、」

「…っと、失礼した」


それを元稀様が諌める。表情は一つも変えずにただ淡々と。
ぼーっと遠くを見つめていたり何を考えているのか全く読み取れないあたり、あの人が怖いという思いもあるが不思議と苦手意識はなかった。これも同じ元親様だからなのでしょうか。


「そういえば、盛。お前この間食いたいっつってたきな粉餅、やるよ」

「え、良いんですか?」

「おう」

「わーい、ありがとうございます」


いきなり思い出したかのように盛親様にそう言う親貞様。盛親様はにこにこと笑いながらきな粉餅の包みを受け取る。あの笑顔は本物な気がします、なんとなくですが。


「盛、気をつけてくださいね?貞兄のことですからもしかしたら腐っているかもしれません」

「そーだよ?なんて言ったって顔がこんなんだもん」

「今日たまたま買ってきただけだっつーの、腐ってねえ!!そんで親房は一言余計だ!!!」


いつもの風景、いつも通りの時間の流れ。そのなかに元稀様たちも加わってなんだか新しく家族が増えたかのような錯覚に陥ります。合わないはずの私たちなのに心地が良くて思わず笑みがこぼれました。


と油
(何笑ってるの?茅)
(わ、親忠様)

少しずつ、ほんの少しずつでも打ち解けあえることが出来るような日がいつかくることを願います。


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鷲さま、この度はサイト開設3周年おめでとうございます!!
ほんとうにおめでたいことです^^
リクエストの長曾我部家でございます。
一応鷲様宅の子たちも出したつもりなのですが…まったくもって違うキャラに仕上がっていたらごめんなさああああい!!!ちなみにいうと茅は軍の中で一番人の心理を感じ取ったりするのに長けています。なのでこんな感じになりました。書き直し、承りますので言ってやってください^^

続けていくということはとても大変ですし、鷲さまが皆さまから愛されているからこそ
続けていくことが出来るのだと思います。
これからも一生ついていきます(^o^)!!そして応援し続けますので、これからも頑張ってください!
私も鷲さまのような管理人になれるように精進します。
今後ともよろしくお願い致します!

てんやわんや、 邑炉より



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