07



『うっ…わあぁああ、すっげえぇえええ!!!』
「だろ?」


さて、なんやかんやありまして、到着しましたここは京です。
京に近づくにつれて太鼓の音やら笛の音やらが聞こえてきて、内心ドキドキが止まらなくてにやにやしてたら武蔵に殴られたわけですが…うん、予想以上に楽しそう!!


「おい、遼。おれさまとはぐれんじゃねーぞ」
『なっ!!子どもじゃないんだからはぐれるわけないじゃんバーカ!』
「バカって言うやつがバカなんだぞ、バーカ」
『むっきいいいいい!!!』


あーもう!!!武蔵に言われるとイラっとする!!でもなんか言い返せないのは何でだ自分!


『そういう武蔵だって今バカって――――あれ?』


周りを見渡しても武蔵の影はない。
あ、あれ?これって、まっままままさか…!?


『さっそくはぐれた!!!』


つい大きい声で叫んでしまったので京の人たちに鼻で笑われました、チクショウ…!!











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『はあ…どこいったんだろう』


私なりに捜索してみました、奴を。
『こんくらいの背丈の、バカっぽい男見ませんでしたか?』って。
京の人って優しいから「知らんなあ…まあ嬢ちゃん、これ食って元気だし!」っていろんな食べ物くれた…!!!もう大好き、京。


『次どこ探そう…』

「アンタ、一人で何してるんだい?」

『え、』


ベンチみたいなのに座って俯いてたらいきなり声をかけられた。こっ怖くて上向けないんですけど…!!!知らない人にはついて行くなって習ったから何があってもここを動かないんだから!!


「なあ、アンタどこの人?」

『…すいませんが、連れがいるので』

「その話口調だと京の人じゃないみたいだねぇ」

『まあ、そうですね』


な、なんかしつこくねーかコイツ。どんだけ暇なんだ。


「じゃあ、京の楽しみ方知らないだろ?俺が教えてやるから一緒に行こうぜ!」

『え、』


そう言ってその人は私の手首を掴んだ。
ちょ、ちょっと待った!!!!


『いや、だから連れが―――』

「連れ?」


その時初めてその人の顔を見たんだけど、知らない人じゃなかったよ、お母さん。


『あれ、前田慶次だ』





                                                                                             
―――――――――――――――――――――――



「俺の名前を知ってるなんて…驚いたよ!」


へらりと――いや、にやにやともとれる笑顔で笑いかけてきた前田慶次。それにしても…でかくね?


『いや、まあ…』

「改めて、俺は前田慶次!慶次で良いよ、よろしくな!!えーと…?」

『あ、遼です』

「遼か、良い名前だねぇ!!」

『あ、ははははは』


ちょ、コイツいろんな意味でクサイ。
言うこともそうだけど女物の香水みたいな匂いがプンプンして、鼻があああ!



「なあ、連れがいるって言ってたけど…そいつどこにいるんだ?」

『…ちょっと諸事情ではぐれちゃって』

「うわー、京の街中を探すのは大変だぜ?」

『ですよねー』


ど、どうしよううう…!!!
人多いし広いし、捜しに行ったらさらに迷子になる気がするもん。


「俺と京を楽しみながらその連れを捜すってのはどーだい?」

『良い、大賛成だよ!!むしろその言葉を待ってた!』


はい、心変わりですごめんね武蔵!
いや、だってお祭りって何歳になっても楽しいじゃん?え、お前だけだって?いやいやソンナマサカー。


「よし!そうと決まれば、さっそく行くぞ遼!!」

『ガッテン!!』



こうして慶次と私は武蔵を捜すための京巡回が始まりました。


(なあ、連れの特徴は?)
(バカっぽくておれさまでバカで田舎者クサイやつ)
(…酷い言われようだね)

(ぶえっっくしゅん!!)

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