02

(何故…幾度となく戦を…)
(わたくしは…貴方様を失いたくないのです)
(どうか…どうか…)














『………ん』



何だったんだろう…今の。
誰かの記憶?
女の人、泣いてたな。

目が覚めた、というよりはいつの間にか意識が戻っていた。あの夢の続きを見ることは許されないようで、途切れてしまった。

とりあえず起きようと思い、身体を起こそうとする。




『え、』




え、ちょ…待ってこれ何プレイ?

よく辺りを見回すと木ばっかりで、私がいたのは草むらの中で…



『うわあ!!考えたらなんか背中ぞわぞわしてきたあああぁぁああ!!』



どどどどどうしたら…!!だってこれ背中に虫入ってたり、口開けて寝てたらまさかのまさかで…!!?(自主規制)

パーカーをばっさばっさとしてついてる物を落とす。幸い虫は出てこなかった。

…そんな時、




ガサガサ





『!!』



草が揺れる音がする。


(な、なんだよ!オオムカデか!?それともイノシシか!!?何にしろ相手してやんよおおおおおお!!!)



強気な内心とは裏腹に最早へっぴり腰。はずかし。
え?ああ、私超チキンです


ひとりでそんなことをやっていると、ガサガサという音は大きくなってこちらに向かってくる。




『…じゃなくてえええ!!ちょ、あのごめんなさい!私は決して美味しくないので、どどっどうか見逃してくださ――――』




ガッサア



『ひい!!』

「ん?」




やっべええええ!
やられる…!!!食われる…!!
あ、でもどうせなら焼いて食べて下さいいいい!!

かたく目を瞑って身構える。
刀かな、槍かな、銃かな…?


…いつまで経っても痛みはこない。
恐る恐る目を開けると、




「なんだ、人間だったのか!イノシシかと思ったぜ!!」

『いや、こっちの台詞なんですけど』

「は?」

『…!!!!』




マズイ…!!
ついいつものテンションで突っ込んでしまった…あああ!!!


とりあえず、顔を背ける。





「おまえ…見ねえ顔だな。変な格好だし」




え、ちょ何、この人まじで失礼
まあ見ない顔ってのは良いとして、変な格好って…!

…ちっくしょう、こうなりゃヤケだ!!





『いや、あなたほぼ上半身出てんじゃねえですか。人のこと言えませんよ』

「おれさまは、いーんだよ!!」

『なっ…!?』




お れ さ ま ?
どこぞのオカンだよ、お前。




『いやいや、しかも何ですかその腰の。すごくボロ―――』

「おれさまお手製の防具だ!どーだ、羨ましいだろ?」




人 の 話 を 最 後 ま で 聞 け !!
何なんだよ!微妙に会話になってるようでなってないけど!?



…ってあれ?





『ちょっと確認しても良いですかね』

「なんだよー?」

『もしかして、宮本武蔵だったりします?』

「おまえ、おれさまの名前しってるのか!?」




いや、知ってるも何も




『大好―――』

「やっぱおれさまの名は有名なのか…!!さすがおれさまああ!」

『ねえもう話最後まで聞いてよおおお!!』



どうやら私は最初からめんどくさい奴と出逢ってしまいました。




(おまえはおれさまの子分にしてやっても良いぜ!!)
(子分は全力で拒否しますうううう!!)


2011.0410


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