「お待たせー」



佐助がお粥を作って持ってきてくれた。



「失礼つかまつる」




その後ろから水の入った洗面器と氷嚢を持った幸村が入って来た。



「長曾我部どのぉおおっ!!大丈夫でござ…むぐ!」

『バカ村ぁああああ!!病人の前で大声出さないのおおお!』

「遼ちゃんもね」



幸村につられて大きい声が出ていた。不覚にも佐助に注意される。



『はっ…!ごめんごめん』

「ほら、旦那。鬼の旦那にそれのっけてあげて」

「あ、ああ!」




両手の塞がっている佐助に代わり幸村が元親のおでこに氷嚢をのせる。




「よし…これで―――ぬわぁっ!」


「ちょ、旦那あああ!?」

『幸村ああああ!!』




幸村が何もないところで転けた。そのせいで氷嚢から氷と水が出てしまい、元親に全てかかってしまった。




「旦那はこれ持って黙って立ってて!!遼ちゃん、俺様タオル持って来るから!」



そう言い残してまた消える。




すると元親が



「…つめてぇ」



「まっ誠に申し訳ないいい…!!」

『元親、もう少し待っててね!今佐助が――』

「戻ったよ!!」




さすが佐助、仕事早いな!!




『大丈夫?』

「…だりぃ」




元親は短くそう返すだけで、とても辛そうな表情を浮かべている。




「とりあえず、しばらく寝かせてあげたら?」

『そうだね』




今の状態ではお粥も口に出来なさそうなので、私たちは元親の回復を待つことにした。



暫くして、元親の様子を見に戻るとさっきより顔色が良くなっていた。





『もう大丈夫そう?』

「おう!それも頂いたぜ」




佐助が作ったお粥は米一粒も残らず食べられていた。




『良かったね、佐助。これで一人前の母親だね!』

「いや、意味分かんないし。ちっとも嬉しくないんですけど」

『あ、元親起きれる?』


(また無視…)



ぐちぐち言ってくる佐助は構わず、元親を心配する。




「済まねえな」

『良いよ!元親だし』

「猿飛も遼もありがとな!!」




いつものアニキスマイルを私たちに向ける。
それを見たら一安心した。

元親の手が私に伸びてきて、頭をなでた。























『………?』




なでられた感触が、ない。
いつもならくしゃくしゃ、と優しくなでてくれる感触が。




『も…元親?』



当の本人も不思議そうな顔をしている。




「お、鬼の旦那…何それ」




佐助はひどく焦った口調で言う。
珍しく取り乱しているようにも見えた。

理解出来ず、元親をよく見ると





『う、そ…?』




その身体は、有り得ないことに透けていた。








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