『もっとちーか!!』

「………」

『元親!朝だってば!!起きてよ』

「…………」




何このアニキ…反抗期なわけ?
私が布団をひっ剥がして、身体を揺すったり耳元でメガホン使って叫んでみても起きる気配はない。

…せっかく今日は元親に恩返しをする日だというのに。





『ふう…んまぁ起きないなら起きないで良いやー、せっかく恩返ししようと思ったのになー…』



ここまで言ってちらりと元親の方を見る。だが全く変化はない。

さすがにこれはおかしい――
そう思った私は元親の頬をぺちぺちと叩いてみた。





『元親ー?ねぇ、大丈…ってうあっつ!!熱い!!』



触ってみれば尋常じゃない熱で、よくみるとうなされていた。




『ちょ…元親!?』




とりあえず、どうしよう!!こういう時は…あ、そうだ!!





『佐助ぇえええ!!』

「はいはいっと、俺様登場!!」



頼れるオカンの名を思いっきり叫べば、黒い羽と共に私の後ろに現れた。




「…って何だ、遼ちゃんかー。あまりにも旦那そっくりだったから何事かと思ったよー」



どうやら渾身の叫びは幸村にそっくりらしく、自分の主君に呼ばれたと思っていたらしい。



『あ、本当?あははごめんごめーん』

「全っ然謝ってるように見えないんだけど」

『謝ってないもん』




いつもの一連の流れの会話をした後、『じゃーなーくーて!!』と言って話を持ちなおす。



『元親が!すごい熱なんだよ!!』

「熱?」



どれどれーと言って元親の額を触ると、私と同じく「あっつ!!」と言って手を引っ込める。




「これ…死んじゃうんじゃないの!?」

『え、そんな熱だけで大袈裟な』

「だって、俺様の周りでこんな熱がある奴…助かったことないよ?」




…そういえば、昔って風邪ってだけでも大袈裟だったんだっけ?




『えーと、この時代はこのくらいの熱ならしっかり寝て、食べて、薬飲んだりすれば治るんだよね』

「え、そんなんで本当に?」

『本当ですがちです』



そんな訳で、佐助は何か食べる物を作ってきて欲しいんだけど、と言うとりょーかい!と羽を撒き散らして消えた。

…全く、この羽誰が掃除すると思ってるんだか。






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