『長政さむぁあああ』

「むっ!?」






私は助走をつけて長政さまに飛び込んでいった。



…が







『どわっ!!!!!!』




ひらり、と華麗に避けられてしまった。そういえばこの人、初めて出会った時も伊達と幸村を躱してたような…





「その汚い面は何だ!!そのような顔でこっちに向かってくるな、悪め!」

『え、ちょっと酷い!!汚いって何ですか!生まれ持ったものなんですけど!?』




どうやら私の顔が余程緩んでいて気持ちが悪かったらしい。ぴしっと頭を叩かれた。




『いったい!酷いですよ!!』

「いいから黙っていろ!朝からお前は煩いのだ」

『うっ…ごめんなさい』


「わかれば良いのだ。それで…何の用だ?」

『あ、そうだった!!』




今の長政さまとの一連の流れで、本題を忘れていた。




『今日は長政さまの番です』

「何がだ」

『え、何がって…恩返し』




え、この人今まで私がみんなに恩を返していたこと知らないの?今まで何してた、何見てた、そんで何聞いてた?





「あぁ、前言っていたあれか。それにしても私の番が遅いとは…悪!!」

『悪じゃない!!物事には順番があってですね、長政さまの恩返しが遅かったのは天からの思し召しなんです!』

「遼が思し召しという言葉を知っているとは…なかなかやるな!」

『馬鹿にしてるんですか?』





…っだぁあああ!!もう!!この人といると話が進まない!





『とりあえず何が良いですか?』

「うむ、そうだな…では私に着いてこい!」

『え、』

「良いから早くするのだ!!」




そう言われて手をひかれ、あり得ない速さで連れていかれたのだった。







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