HPが限界な私は何とか起き上がって、●安さんの方をむいたら…



『ひいっ!?』


やっぱり男だった。

オレンジ色の髪の毛に迷彩柄のポンチョ、そして軍隊の方みたいな顔のペイント…


…うん、これは



猿飛佐助に決定


目の前にいたのは、まごうことなき武田軍の忍・猿飛佐助だったのだ。



…え?
何で●安って名前出してて男キャラだとわからなかったのかって?









そりゃ私だって気がついてたさ!!

認めたくなかっただけなんだっ!!
猿飛佐助だってことを!



「…さっきから思うんだけどさー、何で俺様の名前を知ってるわけ?」


と、少しトーンの低い声が聞こえた。


『そりゃあ…有名だ…!?』


いっいいい今!!
心読まれた!?



「あはー?そんなー、心読むなんて俺様に出来る訳ないっしょー」


いや、読んでますから。


しかもサラッと二回読みましたよね?


なんて失礼な忍なんだ!と、心の中で怒っていると



「…で?此処はどこ?そしてなんでアンタは俺様の名前しってんの?…それで…」


と、佐助の質問攻めが始まったのだった。



―――――――――












…あれから何分経ったんでしょうかね?
あの後、私はちゃんと佐助の質問に答えていった。


うん、偉いよ、自分。





「此処はどこ?」

「なんで俺様の名前を知ってるわけ?」

「アンタ何者?」





『ここは北海道の田舎の私の家です』

『貴方は結構有名なんです』

『私は安達遼と言います』





「“ほっかいどう”ってどこ?」

「へぇ…有名なんだ」

「アンタには姓があるの?」






…っだぁぁぁぁぁっ!
もー!しつこいぞ!!このオカンめっ!!



『北海道っていうのは昔でいう蝦夷地の事です。そして今の時代は誰でも姓を持っています』


「は?」

『…どうかしましたか?』

「ねぇ…今、“昔”って言った?」


佐助の声のトーンがまた低くなった。



『(ちょっ…眉間にシワよってますよー)あ、はい。言いましたが…?』

「今って、“天正13年”でしょ?」

『は?てんしょー?』


天正という聞きなれない言葉に首を傾げる。


(てんしょー…あぁ、ホテル●翔か)



『今はホテルの時代じゃありませ「“ほてる”て何?」


…はぁ?
こいつホテルも分かんないの?


(あぁ、というかこの人は猿飛佐助だもんなぁ…)











…ん?猿飛佐助?

え?



『さっささささ猿飛佐助?』

「そうだよ?俺様、猿飛佐助!以後お見知りおきを、とh『え、嘘?』

「…今更嘘ついてどーすんの。つーか、アンタが俺様の名前言ったんでしょ?」






ぐぼあっ!!


そうだ!私が言ったんだよ!

って言うことは!



『てってんしょーって、どう書くんですか?』

「はぁ?“てんしょう”も分かんないの?“てんしょう”は、天下の天に正しいって書くんだよ?」



てんかの“天”にただしいの“正”…




ハッ!!


天…正だと…!?




『嘘…』



最近、歴史の本で読んだことあった…!

織田信長が将軍・足利義昭を追放した後、信長の意向で「天正」と改元された…とかだっけ?あれ、あやふやだ。



『わっ私の理解が正しければ、てんしょーは“天下を正す”という字でしょうか?』

「…?そうだけど」

『えぇ!?じゃっ…じゃあ、貴方様は戦国時代からお越しになったのでしょうか!?』

「せんごく…?何ソレ?」

『え、戦国時代…知らないんですか?』

「知らないよ?」

『え、ホテルも知らないんですよね?』

「うん」



…コイツまさか








『もしかして、頭おかしいんですか?

「うん、かなり失礼だよね、アンタ



佐助は、黒い笑みを浮かべて言った。


ひぃっ…!!!!

おっお願いですからっ…!!!!
後ろから出てる黒いオーラを消してくださいっっ!!

ちょっと恐怖で涙目になっていると、また佐助が聞いてきた。



「んで?戦国時代とか昔とかってどういうこと?」

『え?あぁ、はい』



佐助に向き直って話し始める。



『戦国時代というのは、今から約400年ぐらい前のことを言います』

「よっ400年!?冗談は止してよー」

『じょっ冗談じゃないですよ!』

「だってここが俺様たちが生きてたときから400年以上たってるって証拠もないし…」

『あ、じゃあコレ見たことありますか?』



ゴソゴソとズボンのポケットから携帯を取り出す。



「何これ…武器?」


恐る恐る携帯を見ている佐助。



『えっと、コレは…』


言いながら携帯を開く。



ピカッ



「うわっ!?眩しっっ!!」




ぶっ……!!!!



ちょっ、何この反応っ…!!
聞きました?奥さん…眩しっっ!!ですって…!!!!
なんか可愛い…



『こっ…これはっ、けいっ携帯電話と言ってっ…遠くのひっ人と、会話ができっ…ぶふっ!!出来たりっ、メールというっっ文が交換できます…っ』


笑いを必死に堪えながら(殆ど堪えられなかった)佐助に説明した。



「へぇー、文も交換できるんだ…便利だねぇ」


佐助はぺたぺたと携帯を触り出した。


(ぶっ…くくくっ…やべぇなんか可愛い…!!)





「…ん?コレって鬼の旦那じゃない?」

「おっ鬼の旦那?誰ですかそれ」



佐助の言葉に首を傾げると携帯の画面を指しながら言った。




『ほら、長曾我部の旦那だよ…って知らない?』







いいえ。
知らない訳ありません。



『もちろん知ってますよ』

「じゃあ何で鬼の旦那がこんな所に?」



まぁ、言っちゃえば
私の携帯の待受はアニキなんです!



『んまぁ好きだからです』

「へぇー…」




そんな会話をしていると、佐助のものでは無い声がした。




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