残すところ、あと4人の恩返し。さぁ、今日のターゲットは…?















『くわぁぬぅえぇえつぅぅぐぅうう!!』

「おぉ、遼ではないか」




どこぞの凶王様が「いぃいえぇぇやぁあぁああすぅううう!!」と叫ぶように兼続を呼べば、一瞬首を傾げながらも返事を返してくれた。





「どうかしたのか?」

『ん?あぁ、うん!!今日は兼続に恩返ししようと思って』

「私の番なのか?」

『そうそう!』




成程な!と言って嬉しそうに微笑む兼続。何が良い?と尋ねれば、ぽんと掌をうつ動作をした後、酌をしてくれ!!と頼まれる。




『何か…兼続らしいね』

「駄目なのか?」

『え?あーいや、大丈夫大丈夫!!全然問題ないんだけど――』




私が言葉を濁らせると兼続は、どうしたのだ?と言う。





『…お酒って、どうするの?』




一番の疑問であった。第一私は未成年だし、お酒なんて調理用のぐらいしか置いていない。かといって、武将に調理用のお酒をはいどうぞ…なんて渡せるはずもない。




「その事に関しては、全く問題は無いぞ!」

『え?』





私が1人で勝手に考えていると、兼続は自慢気にこう言ってきた。




「私がまたあの店に行き、酒を貰えば良いのだ!」

『不義だ!!そんなの不義だよ兼続!!』




私が全力でツッコミを入れると、兼続は何故だ?と聞き返してくる。




『い、いや…何故って言われてもこの世の中の決まり事で、物を買う時はお金を払わなきゃいけない訳で…』

「あそこの御仁は親切心でくれたのだから、不義では―――」

『不義なんです!!そういうものなんです!』




何だこいつ…!!人に不義不義言っておいて自分の不義は認めないだと!?なんてやつだ…




「む!!今何か悪い事でも考えていたな!?不義だぞ遼!!!!」

『あんたの方が不義じゃあぁああぁあっ!!』





何だか理不尽すぎます。
話通じません。






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