『さーなださーんっ!!』

「あぁ、遼さん…おはようございます」




嗚呼…今日も真田さんは爽やかやー!!!!


幸村と一緒に毎朝鍛練している真田さん(何か紛らわしいな…)


はい、タオルですよと言いながら手渡すと、爽やかな真田スマイルでありがとうございます、と言われた。


あ、もうだめかも、死んじゃうこれ…!!!!




「大丈夫ですか?遼さん、随分と顔が赤くなっておりますが…」

『っひゃい!!!!大丈夫でごぜーます!!』



なんちゅう天然…!!
私の顔が赤くなってるのは、100%あなたのせいなんですがね、真田さんんん!!


私に止めを刺すが如く、頬を両手でふわりと包み込んだ真田さん。

あ、ちょっと汗でベタベタなんですけど、ちょ、まさかこれが狙いかバカ野郎!!




「何か…言いました?」

『いっいいえ何でも!!!!そんなー、天下の真田さんに偉いこと言える筈がないでしょうあははー』





あっぶねぇええぇおい!!
息の根止められるとこだった…!!

真田さんのあの目は今ならメデューサの目をも越えるんじゃないかと思った。




「それで、何のご用で?」

『あ、忘れてた!えーとですね…今日は真田さんの恩返しの日なんですよ』

「そんな気を使わなくても…私がいた期間などたかが知れてるではありませんか」



眉をハの字にして困ったような笑顔で答える真田さんに、ずいっと迫って言う。



「えっと、遼さん…?」

『たかが知れてるなんて言わないで下さい!私は短い間でも、あなた方と過ごした時を忘れたくはないし、感謝したいんです』




真田さんの目を力強く見つめる。

すると、



「…お代はこれで良いです」



何をされたかわからなかった。
目をぱちぱちと瞬きさせると、真田さんは笑いだす。




「本当にからかい甲斐のある方ですね…!」

『なっ―――』



次は、しっかりと理解出来た。

真田さんの顔が間近にある。




『な、っなななっ…!?』

「そうですね…私の願いは…」



何事もなかったかの様に、自分のしてもらいたい事を考えだす真田さん。



『さ、真田さ』

「何ですか?」

『ち、近いです…!!!!』



もう少しで唇が触れ合う距離で、心臓がバクバクいっている。持たないよ、これ絶対私を殺す気だ!!




「あぁ、気にしないで下さい」

『え、ちょ』

「そうですね、私の願いは、」




こんな距離で普通に喋っているのもおかしいが、今日はもう1つおかしいよこの人。








「今日1日、私達のことを様付けで呼び、敬語で話してください」



真っ黒い、というかもう黒真田さんがにっこりと笑いながらそう言った。


『…へい』






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