暫く沈黙が続いた。




その沈黙を破ったのは、幸村だった。









「…それなら某は、無理強いはしないでござる」


「真田!」



「確かに某も“日本一の兵”などと言われているが、正直遼どのを無傷で守りきるということは、流石に無理でござる…それに」



幸村は私に近づいて来て、頬に手を添えた。





「…大切な人が、目の前で傷ついたり、死ぬのは…嫌でござる」


『…幸村、』





うっわ!!

真剣な空気ぶち壊しだけどうっわ!!
男前幸村だ!!
えぇぇぇ、かっかっこいい…!!


私は白でもなく黒でもない幸村に初めて出会った。


これは…うん、世の女性は虜になってしまうわ。


何だか真剣な表情で幸村に見つめられて、私の顔が段々と赤くなっていくのが分かる。






「Hey、真田!てんめぇ…何my honeyに告白してんだ!!」


「告白…?何を言っておられる、政宗どの。某は本当の事を言っただけでござる」


「っっだぁああぁぁ!!だーかーらっ!!その本当の事はモロ遼の事を好きって言ってるようなもんじゃねぇか!!」


「ハッ…何を今更。某は遼どのが好きでござる。何か問題でもおありか?」





おっと、段々と黒幸村の気配がしてきたぞ。




「ってめぇ…」


「政宗様、落ち着いて下され」


「ほら旦那も。大胆に告白なんてして…とりあえず一旦落ち着こっか?」




保護者2人組のお陰で、伊達と幸村は争いを止めた。




「まぁ、某もあのような危険な場所に遼どのを連れて行きたくは無いでござる」


「それは俺様も同感。それに、血なんか見たらきっと遼ちゃん倒れちゃうし…」





あ!それはあるかもしれない。





「…遼が行きたくねぇんな仕方ねぇな」


『うん…ごめんね?元親』


「なーに!お前が謝る事じゃねぇんだからよ」




凄い眩しい笑顔で頭をバシバシ叩いてくる元親。





『元親、そろそろ痛い…』


「ん?おぉ、すまねぇ」




私が行かないって言ったことに対して、みんなはちゃんと納得したり理解してくれた。


みんなも行かない方が良いかも…と考えてくれた。





…やっぱり、別れるのは辛いなー。




「…遼?」




ぼーっとしていた私に、兼続が声をかけてきた。




『…よし』


「ん?」


『私…みんなに恩返しするよ!!』


「…へ?」



冒頭の私の言葉は、コレだった。









「恩返し、って…具体的に何するの?」






佐助が聞く。





『何って…うーん、みんなのやりたいことに付き合うとか?』


「Hey!!遼っ!!だったら俺は」


『やましいことは一切禁止ですけどね』


「shit!!」




だってそうでもしないと、みんな何を仕出かすか分からないもん。





「じゃあ、やましいこと以外なら何でも良いの?」


『うん、良いよ!だから…考えておいて?明日から早速恩返ししたいから』


「誰から恩返ししてくれるの?」


『んー…とりあえず明日は幸村と佐助かな?』


「某たちでござるか?」


『うん。それぞれ考えておいてね』


「了解したでござる!!」


「はいはーい」





真田主従は、なんだかうきうきしている様に見えた。





『あ、他のみんなもちゃんと順番回ってくるから、頼んだよ!』




そう言うと、みんなは返事をしてくれた。





『それじゃあ私からの話は終わり。…それじゃあ冷めちゃったかもしれないけど、小十郎さんの愛がたーっぷり詰まった朝ごはんを食べようか!』


「遼ちゃん、俺様の愛もー…」


『いただきまーす』


「…(良いんだ。もうなれたんだから…)」




どこまでも可哀想な佐助だった。

(ちょっ…どういうしめかた!?)



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