『…恩返し、します!!』
















事の発端は、今日の朝にあった。






『…みんなに聞いてほしいんだけど、良い?』




私は昨日心の内に決めたことをみんなに話すことにした。




「Oh〜、漸く俺の嫁になる気になったのか」

『あぁ、その話は一生しないから大丈夫だよ』

「Ah?照れてんのか?可愛いHoneyだな」

『勘違いも程々にしてくれませんかね』





伊達め…いきなり何を言い出すんだか。

とりあえず伊達を一瞥してから咳払いし、気をとり直して話をし始めた。






『昨日一緒に月見酒をしていた人はわかると思うんだけど、』


「…ちょっと待ったでござる」

『何?幸村』





幸村がムッとした顔で話しかけてきた。





「某、月見酒をしたなどとは一言も聞いておらぬぞ」

『あぁ、酔ったら大変なことになる人には声かけてないからね』

「…遼?」

『え、何ですか黒い幸村なんですか?なら私全力で謝らせていただきますが』

「後で酷いことになるのは覚悟の上でござろうな?」

『いや、本当にすいませんでした』





いやーん、幸村の笑みが怖い…




「遼ちゃん、気持ち悪い」

『佐助に言われる筋合いなんかないんだから』


「それで遼、話って何だ?」





小十郎さんがこれ以上話が脱線しないようにと話題を戻してくれた。





『あ、そうでした。えーと…んー、何といいますか、その…』

「何だ、はっきりと申さぬか、馬鹿め」


『じゃあ簡潔に言います。私、みなさんにはついていきません』


「「「「は!?」」」」



何人かの声が重なった。





「なっ、何言ってんだよ?Honey…」

「儂は連れて帰るといったぞ、遼!!」




W政宗が言った。




『私…嫌なんだよ、いろいろと』

「前に居場所が無くなるだとか云々言っておったやつか!?」

「居場所だったら俺らが、」



『“俺らが作る”って言うけどさ、作ってくれても嫌なの』




私は冷たく言い放った。




「遼は何で嫌なんだ?」


『…元就が言ってた。これからどこかで大きな戦が始まるって。その時に言われたんだ、“生き残れるのか?”って。みんなは自分の軍の事で手一杯で、私を守るような余裕も無くなるって』


「…Honeyは俺らのことをなめてんのか?」





伊達の言葉に、少し怒りが混じっていた気がした。




『なめてなんかいないよ…どこの世界に行ったって、両手で6本の刀を扱う人も、自分より大きい碇に似た槍を扱う人なんて、見たことないから』


「…っっだったら!!!!!!どうしてだよ!?」

『っ…』




いきなり伊達に怒鳴られてビックリした。




「あぁもう…独眼竜の旦那!!遼ちゃんがビックリしてるでしょ!?」


「…sorry」


『ううん。大丈夫だよ、伊達。ありがとう佐助』





私はぎこちない笑顔でお礼を言った後、続けた。




『確かにみんなは強い…けどみんなが強いんなら、その周りも、敵も強いに決まってる』



あの第六天魔王・織田信長とか、豊臣秀吉、それに戦国最強・本多忠勝だっている。




『そんな中に普通の、体力もない私が放り込まれたら死ぬに決まってる。私は、まだ死にたくない…死ねない。だから…っ行けない』



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